米サンノゼのイベントで話すジェンスン・ファンCEO=2024年3月
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 最近よく聞くエヌビディアという半導体の企業。アマゾンやグーグルといった名だたるテック企業の時価総額を爆速で抜き去った。その急成長の背景とは。AERA 2024年6月17日号より。

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 エヌビディアが時価総額でアップルを抜き2位に躍り出た。

「そのうち現在1位のマイクロソフトを抜いて、世界で最も価値ある企業になるだろう」

 そう語るのは、米CFRAリサーチの半導体専門の証券アナリスト、アンジェロ・ジノ氏だ。

「僕たちが生きている時代の最大の“発明”は何か?と聞かれたら、iPhoneだと即答する人が多いよね。でもエヌビディアが開発したGPUは、iPhone以上に世の中の構造を変える産業革命と言えると思う」とジノ氏。

 GPUとは「グラフィックス・プロセッシング・ユニット」の略で、数学的計算を高速処理できる半導体チップのことだ。

 エヌビディアのGPUは元々、PCゲーム用の3D画像処理で知られるマニアックな存在だった。それがなぜ大発明に?

「世界中の大手企業が生成AIへの対応を迫られるいま、AIの波から逃れられる企業は、一社も存在しなくなる。膨大なデータやランゲージモデルを高速処理するAI活用には超高性能のGPUと優れたソフトウェアの組み合わせが不可欠。それを提供しているのは、世界でエヌビディアだけ」とジノ氏は言う。

デニーズの皿洗いから

 エヌビディアの共同創業者兼CEOのジェンスン・ファン氏は9歳で台湾から米国に移民してきた。黒い革ジャンを着た彼がテックイベントに登場して、手のひらより小さなGPUチップを見せると、数千人の観客から地響きのような歓声が上がる。

 少年時代にデニーズで皿洗いをしていたファン氏は大学でエンジニアリングを学び、スタンフォード大学で修士号を得た後、シリコンバレーのサンノゼで友人2人と共にデニーズに集まり、半導体開発で起業するアイデアを練った。1993年にエヌビディアを設立し、その後画像処理が可能なGPUの開発に注力。31年後、AI用の演算処理に最適なチップで8割のシェアを誇るようになる。

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