「いじめの芽」とは、どのように発生するのでしょうか。心ない言葉や行為で人を傷つけてしまう前に、上手に気づくことができたらどんなにいいでしょう。3兄弟の母でコミックエッセイストのtomekkoさんは、そんな「『いじめの芽』を子どもたちの関係にも見ることがある」と言います。悪気のある・なしに関わらず、心にとどめたい「もしかしたらいじめにつながってしまうかもしれない小さな芽」。いったいどのように子どもたちに伝えたらよいのか、試行錯誤の様子を綴ります。
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新学期が始まってから2カ月。そろそろ子どもたちも新生活に慣れが出て友だちトラブルもちらほら耳に入るようになってきた頃でしょうか。そんな子育て中のみなさんは子どもの頃にいじめられた、あるいはいじめをした経験ってありますか?
「一度も、まったくない」
と言える人なんていないと思います。
大きな問題にはならなくても、数人にからかわれたことや、逆に自分が軽い気持ちでからかったことを大人になってふと思い出して胸がズキっとしたことくらいはありますよね?
もちろん私にも両方の経験、苦い思い出があります。
学生時代のことよりも、なぜか定期的に思い出すのは幼稚園ぐらいのこと。四十路も過ぎると昔のことほど記憶が鮮明になるって本当かもしれません。
私は一人っ子だったのできょうだい間でのケンカは経験したことがありませんが、親戚がよく集まる家で、数人の年の近い従兄弟たちと、3つほど離れた年上の従姉を仲間外れにしたんです。そのとき一人離れたところに座っていた従姉のうつむいた暗い顔。
一方、幼稚園の滑り台で数人の同級生が上から突然砂をかけてきたとき。
「どうしてそんなことするの?」
と聞いたら返ってきた、
「嫌いだから」
の一言に頭が真っ白になったこと……。
あー、書きながら今も心がズキズキします。
「あのとき、どうしてあんなことしちゃったんだろう?/されたんだろう?」
そんなモヤモヤを取り払ってくれたのは、さかなクンの有名な言葉でした。
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