奥野 友美さんマリアプロジェクト代表取締役。業務効率化を目的に様々なシステム開発を行う中で、AIやシステムにはできない人間ならではの能力の重要性を認識し、絵本アプリの開発に着手。4児の母で、長男は国際バカロレア校に通った経験を持つ
奥野 友美さん
マリアプロジェクト代表取締役。業務効率化を目的に様々なシステム開発を行う中で、AIやシステムにはできない人間ならではの能力の重要性を認識し、絵本アプリの開発に着手。4児の母で、長男は国際バカロレア校に通った経験を持つ

 もっと絵本に興味を持ってほしい、自分で考えを深めて表現できるようになってほしい。そう願う親におすすめなのが、絵本アプリ「KIKASETE(きかせて)」。読み聞かせをするだけでなく、質問を投げかけてくれる対話型アプリです。その魅力と効果を探ってみました。

■IT化が進むほど読解力や表現力が重要に

 読解力を伸ばすために絵本をたくさん読んでほしいと願っても、毎日の習慣にするのは、なかなか難しいもの。子どもが進んで取り組むことができ、楽しみながら読解力を伸ばせたら……と考えるなら、アプリの力を借りるのも一案かもしれません。

「KIKASETE(きかせて)」は、「聞かせて。絵本から飛び出すぼくの考え、わたしの想い。」をコンセプトに、考えて伝える力を伸ばす絵本アプリです。おもに4~6歳の子どもを対象にしたこのアプリの最大の特徴は、ただ読み聞かせをするだけではなく、クイズや質問を楽しく投げかける“対話型”という点にあります。

 アプリを運営するマリアプロジェクト代表取締役の奥野友美さんによれば、自身の業務での経験が開発の経緯に深く関わっているそうです。

「私はこれまで、業務効率化という観点で様々な業種のシステムを開発してきました。その過程で、AIやシステムでは不可能なこと、人間だからこそできることの重要性を常々感じてきたのです」

機械音声で集中力アップキャラクターの声は機械音声。「人間の声による読み聞かせは、絵本の世界に浸りたいときには最適です。一方で、考えて答えることを目的とする場合は、機械音声のほうが集中しやすい傾向があるのです」(奥野さん)
機械音声で集中力アップ
キャラクターの声は機械音声。「人間の声による読み聞かせは、絵本の世界に浸りたいときには最適です。一方で、考えて答えることを目的とする場合は、機械音声のほうが集中しやすい傾向があるのです」(奥野さん)

 たとえば、クライアントや上司の「なんとなく」とか「いいカンジにして」という具体性のない言葉の意をくみ取って、仕様まで落とし込むためのコミュニケーション能力は、その最たるものといえます。一方で、チームで仕事をするうえでは、相手が理解できるように自分の要望を的確に伝える力も必要とされるでしょう。

「小学校でもプログラミング教育が必修化されるなど、これからの時代を生きる子どもたちにとって、ITの知識は持っていて当たり前のものになっていく。そのため、これまで以上に、周囲と協力して誠実に仕事を進められる人柄が求められるようになるでしょう。そこで、子どもたちが読解力や表現力などを自然に身につけられるように、との思いからアプリの開発に取り組んできたのです」

 開発にあたり、奥野さんは国際バカロレア教育の設計資料を読み込み、カリキュラム作成の参考にしたそうです。

「国際バカロレア教育は、社会に出たときに必要とされるような人材を学習のゴールとして、カリキュラムの設計を行っています。その点に感銘を受け、KIKASETEも、今後のAI化社会で必要とされるスキルの獲得をゴールに設定し、その達成を目指してカリキュラムを設計しました」

■高度な読解力を要するテストで驚きの結果が

 使い方にも工夫が凝らされています。1冊の絵本を2日にわたって学ぶ仕組みもそのひとつ。1日目は、まずアプリ内のキャラクターがお話を読み上げ、絵本の内容に沿ったクイズが出題されます。そして、キャラクターが内容についてどう感じたのかを質問し、子どもは自分が感じたことを回答。すると、キャラクターが子どもの答えに応じた反応を返してくれます。

「2日目は、復習として1日目と同じ絵本をもう一度読みます。その際、絵本の内容を理解しているか確認する質問が出るので、内容を的確に理解しているのかを知ることができます。読み終えたあとに出題されるクイズの内容は1日目と同じ。2回同じ問題を解くことで、知識の定着に役立ちます」

対話型絵本アプリKIKASETE 4つのステップ(写真左上から時計回り)ステップ1:絵本を選ぶ/1日目は、3冊表示される絵本の中から好きなものを選ぶ。アプリ内には「かちかちやま」など日本の昔話から世界の名作童話、オリジナルのものまで幅広い絵本が用意されている。今年中に220冊まで増える予定ステップ2:クイズ/キャラクターが絵本を読み上げたあと、内容に応じたクイズを3問出題。親子で調べて解答することを想定しているため、問題の難易度はあえて高めに設定。2日目も復習として同じ絵本を読み、同じ問題が出題されるステップ3:シンクボタン、スピーチ問題
<br />2日目は、絵本を読んでいる最中にその場面の内容についての理解度を測るスピーチ問題が出題される。また1日目2日目ともに絵本を読み終わると、内容の感想を尋ねるスピーチ問題を出題。3日目はまた新しい絵本を選ぶステップ4:スタンプ・賞状終了するとアプリ内のカレンダーに、スタンプが押される。継続日数や正答数に応じて「スペシャルスタンプ」や賞状がもらえるなど、子どものやる気をアップさせ、毎日無理なく続けるための工夫がいっぱい
対話型絵本アプリKIKASETE 4つのステップ(写真左上から時計回り)
ステップ1:絵本を選ぶ/1日目は、3冊表示される絵本の中から好きなものを選ぶ。アプリ内には「かちかちやま」など日本の昔話から世界の名作童話、オリジナルのものまで幅広い絵本が用意されている。今年中に220冊まで増える予定
ステップ2:クイズ/キャラクターが絵本を読み上げたあと、内容に応じたクイズを3問出題。親子で調べて解答することを想定しているため、問題の難易度はあえて高めに設定。2日目も復習として同じ絵本を読み、同じ問題が出題される
ステップ3:シンクボタン、スピーチ問題
2日目は、絵本を読んでいる最中にその場面の内容についての理解度を測るスピーチ問題が出題される。また1日目2日目ともに絵本を読み終わると、内容の感想を尋ねるスピーチ問題を出題。3日目はまた新しい絵本を選ぶ
ステップ4:スタンプ・賞状
終了するとアプリ内のカレンダーに、スタンプが押される。継続日数や正答数に応じて「スペシャルスタンプ」や賞状がもらえるなど、子どものやる気をアップさせ、毎日無理なく続けるための工夫がいっぱい

 定期的に行っている実証実験(※1)では、このアプリを使うことで、子どもたちの能力に変化が見られています。たとえば、物語の主人公の感情を適切に推定できるかどうかを評価する「感情ラベリング課題」というテストでは、アプリ利用者群のほうが非利用者群よりも点数が伸びていたそうです。

「論理的思考能力を測るテストにおいては、実験開始時のプレテストでは、アプリ利用者群より非利用者群のほうが点数が高かったにもかかわらず、約1カ月後には、アプリ利用者群が非利用者群を抜くほどの上昇傾向を確認しています。このテストは、大人でも難しいような高度な読解力を要するものだったので、私たちとしても驚きでした。様々な角度からの質問を投げかけ、理解を深めることで読解力が養われたのではないかと考えています」

■大人になるための準備をするアプリ

 また、実際に学習効果を実感している親も多く、親を対象にしたアンケートでは76.9%が「本に興味を持つようになった」、67.5%が「自分の考えを言うようになった」と回答(※2)。

「自分の気持ちを的確に表現するのは、実はとても難しい。子どもが怒ったり、いじけたりするのは、感情をうまく伝えられないからでもあると思うのです。自分の感情や、そう思う理由をきちんと説明できるようになるのは、大切な成長のステップ。KIKASETEは、“大人になるための準備をするためのアプリ”ともいえるでしょう」

 読み聞かせから、クイズ、スピーチ問題まで1日15分以内で完結。1日に1回だけ取り組める設定になっているので、長時間スマホ画面を見つめる心配もありません。また短時間で終わることで、毎日の習慣にしやすいといえるでしょう。

 効果を最大限引き出すために研究が尽くされ、随所に工夫が凝らされているアプリですが「より品質を追求し、たくさんの人に使ってもらいたい」という思いから、無料で展開。気軽に使えるのもうれしいポイントです。さっそくダウンロードして、親子で楽しみながら取り組んでみましょう。

詳しくはこちら >

※1 2020年9月~2021年3月 調査委託:株式会社マクロミル「未就学児に対しての教育アプリ使用の効果調査」(N=144) ※2 2019年3~5月 調査委託:株式会社マクロミル(N=169)

■ユーザーからの声

・義務感のように取り組むのではなく自分から「お勉強したい」と言うようになり、毎日の習慣を自分で作れた(35歳/女性)

・意味のわからない言葉の意味を尋ねることが増えて、語彙力が上がったと感じた(37歳/女性)

・「どうして?」という問いかけに対し、以前は黙り込むことが多かったが、拙(つたな)い言葉でも何かを答えようとするようになった(35歳/女性)

・なぜそう感じたのかを聞いても、以前は「そう思うから」などという答えだったが、アプリを使い始めてから、具体的に理由を話せるようになった(32歳/女性)

・アプリ以外でも絵本を積極的に読むようになった(43歳/女性)

・絵本の内容を親に話したり、クイズを出したりして、知識を得ることに楽しみを感じている(40歳/女性)

・勉強するのが好きになったようで、自分からひらがな等を学ぶようになった(38歳/男性)

※2020年11~12月 調査委託:株式会社マクロミル

提供:Maria Project株式会社