昨年11月にペイペイの還元キャンペーンを発表したヤフーの川辺健太郎社長(前列左端)。今後は、ペイペイをグループの金融事業を背負う一大ブランドに育てる考えだ/東京都渋谷区 (c)朝日新聞社
昨年11月にペイペイの還元キャンペーンを発表したヤフーの川辺健太郎社長(前列左端)。今後は、ペイペイをグループの金融事業を背負う一大ブランドに育てる考えだ/東京都渋谷区 (c)朝日新聞社
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ヤフーは10月から大きく生まれ変わる(AERA 2019年6月24日号より)
ヤフーは10月から大きく生まれ変わる(AERA 2019年6月24日号より)

 急速に広まるQRコード決済の「PayPay」が、銀行や証券会社に──。ソフトバンクとヤフーがそんな計画を進めている。背景には苦しい事情が透ける。

【図解】ヤフーは10月からどう生まれ変わる?

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 日本のインターネット企業の代表格のヤフーが10月に大きく様変わりする。広く知られた社名を捨て、「Zホールディングス」に変更。これに合わせて、ヤフーが手がける様々な金融サービスを、スマートフォン決済の「PayPay(ペイペイ)」を冠した名称に変更することが有力になっているのだ。

 5月の初め、「PayPay」を冠した11件の金融サービスの社名の商標が登録された。「PayPay銀行」をはじめ、「カード」「トレード証券」「インシュアランス(保険)」「FX(外国為替取引)」など、考えられる限りの金融サービスを網羅する勢いだ。

 現在ヤフーが行っているジャパンネット銀行、ヤフージャパンカードといったサービスの名称を変えるほか、新サービス導入も視野に入れているとみられる。Zホールディングスの傘下に、これらの事業を統括する中間持ち株会社を作る計画で、名称は「Zフィナンシャル」が有力だが、「PayPayフィナンシャル」も商標登録された。ヤフー関係者は「PayPayはソフトバンクグループ全体で注力していく」と、PayPayブランドをソフトバンク、ヤフーが持つ国内金融事業の中心に据える方針を説明する。

 決済アプリのPayPayについて幹部は「ローンや貯金、投資信託やネット通販にも使えるライフスタイルアプリにする」と説明する。決済の利用で得たポイントを、保険や投信の購入などに使えるサービスが想定される。

 PayPayには、インドの決済アプリ「Paytm(ペイティーエム)」が技術を提供している。同社のインドやカナダの技術者がグローバルで24時間態勢でPayPayの改善を進めているという。ただ、商標登録したサービスを実際にいつ始めるかは未定だ。

 すでに広く知られた「ヤフー」や「ソフトバンク」ではなく、まだ知名度の低い「PayPay」を金融事業の中心ブランドに据えるのはなぜなのか。

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