全国公開中の映画「チア男子!!」の原作者である朝井リョウさんは29歳、主演の横浜流星さんは22歳。ともに20代の才能溢れる二人には、意外な共通点もあるようで──。
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──映画はいかがでしたか?
朝井リョウ(以下、朝井):何より実現してホッとしました。何度か映画化のお話をいただいていましたが、チアリーディングの演技にはケガのリスクもあり、全て頓挫してきたんです。今回晴希役を横浜さんが引き受けてくださったことは本当に幸運でした。極真空手をやっていらしたし、身体的な言語や表現をお持ちなので。
横浜流星(以下、横浜):ありがとうございます。
朝井:チアリーディングって人を応援することを目的とするスポーツなんですよね。モチベーションの入り口が普通のスポーツと全然違う。その時点で従来の「青春スポーツもの」とは違う質感になっていたと思います。
横浜:晴希って自分でも気づかないうちに立ち上がって、人を応援しているような子なんですよね。まず相手のことをそこまで思えるって素敵だなと思いました。僕自身はそこまで優しくていい人間じゃないので(笑)、現場では晴希のように、周りをよく見て、人に心をくばって動くように意識しました。
──実在の男子チアリーディング部がモデルですね。
朝井:はい。いつか青春スポーツものを書きたいと思っていたのですが、早稲田大学の「SHOCKERS」に出合った衝撃で2作目で挑んでしまいました。
横浜:映画でも、SHOCKERSのOBのみなさんにコーチをしていただきました。
朝井:『チア男子!!』を書いた時、私は21歳で、作家人生の“青春期”の作品なんですよね。いま読み返すと「そんな展開は許せない!」という部分も結構あります。若さって怖い!
横浜:21歳でこれを書けるって、考えられないです……。
朝井:いや、私は21歳で全国放送のドラマに出てることのほうが考えられないです(笑)。
──監督も27歳と若いです。
横浜:いままでで一番、話し合えた監督かもしれないです。演技で気になることを電話でも話したり、僕に対してだけじゃなく一人一人にすごく時間をかけて向き合ってくれました。
朝井:メインキャストの7人と監督の関係性は、本当に大学の部活仲間みたいですね。
横浜:けっこうみんなキャラが濃いんですよ。男子チアリーディング部を作る役の中尾(暢樹)は素顔も本当に役柄のまま、太陽みたいに現場をグイグイ引っ張ってくれるリーダー気質で。