「実証実験は大学側によるもので、実用面での課題もまだ多い。実験結果を踏まえた上で、事業化できる技術として我が社がブラッシュアップしていきたい。来年度をめどにまずはテスト版を完成できれば」と意気込む。
服部は30歳の節目で自分の会社を立ち上げたいという思いを持って、大学卒業後はベンチャー企業に入社。エンジニアとしてwebサービスの開発やセキュリティーを担当した。その後情報セキュリティーの専門会社立ち上げにCTOとして携わった。
起業当初は博多にあるコワーキングスペースが拠点だったが、地域イノベーション・エコシステム形成プログラムへの参加をきっかけに、今年6月から地元でもある北九州市若松区の北九州学術研究都市に移った。自身も、現在は母校である九州工業大学の大学院に戻り、博士号の取得を目指して経営と研究の二足のわらじを履く。現在、学生アルバイトを含めて10人のスタッフを抱え、早くもオフィスが手狭になってきたという。
「研究拠点である大学と事業展開できる企業が近く、互いに密接に関わり合っているという立地は将来性が高く可能性を秘めていると感じる。九州工業大学の学生がアルバイトとして参加してくれ、実力のあるエンジニアも獲得できている。そういう意味でも、北九州に拠点を移したことのメリットは大きい」と服部は話す。(文中敬称略)(ライター・渕上文恵)
※AERA 2018年12月3日号より抜粋