というよりも、そもそも、黒岩氏の話にざわざわしながらも、「まさか? そんなことが!?」と驚くような気持ちになれなかった私自身にも驚いている。慣れてしまっているのかもしれない。こういう種類の「キモサ」を数え切れないほど見聞きしてきたからだろう。そんな社会で「男なんてそんなもの」という諦めを女たちは心の底に澱(おり)のように重ねてきているのだ。

 性搾取する男性に対して「キモイ」という言葉を投げかけると、「差別だ」と反発する人たちもいるが、「キモイ」とは性的に搾取される側の自己防衛の言葉だ。そもそも「キモイ」のは行為であって、存在そのものを指しているのではないが、女性と性的に関わろうとする際になぜ敢えて「キモイ」側を歩いてしまう男性がこんなにも多いのだろう。知事からして……。で、そういう日本の男たちのキモサに飼い慣らされたくない女たちを今度は、「悪い」男たちの国際ロマンス詐欺が待っているなんてな。リアルもオンラインも、この社会、女が生き抜くのは大変です。

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