ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
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(c)朝日新聞社
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

【写真】トランプ米大統領

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 これは非常に危険な原稿になる可能性があります。皆さんが読んでいる時点では7月6日を過ぎており、米国の制裁関税の一部が実行され(340億ドル相当)、中国も同規模の報復関税で迎え撃つ、という展開になってる……はずです。違っていたらここから先は読み飛ばしてください、スミマセン(笑)。

 ワタクシの見るところトランプ大統領が(プロレス団体の)WWEのやり方に従うなら、緒戦は殴り合うはずです。ニュースとしては大きく取り扱われますが、実際の影響は大したものではありません。まずはやった、ということを重視するトランプ大統領ならではの戦略と言えます。

 問題はその先、自動車輸入に報復関税をかける……というような話が本当に実行されることです。正直、ほかの物品は何とかなります。自動車だけは規模が大きすぎてそれこそ世界経済がどうかなってしまうかもしれませんし、日本にとって大問題なのです。

 仮に自動車に25%の関税をかけるとすると、2017年のアメリカの自動車輸入総額は3590億ドルだったので、ざっと900億ドル、すなわち10兆円分の関税がかけられることになります。この関税を負担するのは他でもない消費者であるアメリカ国民なわけです。現在順調な個人消費もどうなるか、わかったものではありません。このまま行くと日本は本当にヤバい状況になります。

 自動車の国内生産台数から販売台数を引きますとスクラップの台数になる……わけはないのであって、これは多くが輸出されているということになります。台数差のランキングを2017年で見ると、

1.日本 445万台
2.韓国 231万台
3.ドイツ 184万台

 となっています。ちなみに問題の米中は、

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