感情も露わなトランプ氏のツイッター(AERA 2016年12月5日号より)
感情も露わなトランプ氏のツイッター(AERA 2016年12月5日号より)

「今後8年の政権を担う人たちを決める重要会議がトランプ・タワーで本日ある」(11月22日)、「(一度キャンセルした)ニューヨーク・タイムズとの会談を本日午後0時半に再設定した。乞うご期待」(同日)。

 約1600万人のフォロワーがいるトランプ氏のツイッター個人アカウントには、「国家機密」という概念が存在しない。

 トランプ・タワーの上空を飛行禁止区域にするなど厳重警備態勢が敷かれる中、次期大統領の所在地をピンポイントで事前告知しているのは、他でもないトランプ氏本人だ。次期大統領をコード名「モーグル(大物)」と呼び警護を担当するシークレットサービスには、まさに冷や汗もの。ただ、「暴露」は自身の所在地にとどまらない。人事や政策、要人との個別会談の内容まで「ガラス張り」だ。

●メディアも情報元に

「たった今、フォード・モーター社のビル・フォード会長から電話があり、(高級車)リンカーンの生産拠点をケンタッキー州で維持すると知らせてきた。メキシコには移転しない」「私を信頼してくれたケンタッキー州の人々のために私が尽力した」(17日)、「司法長官にジェフ・セッションズ氏。適材適所の人事だ」(22日)──。調整中の閣僚人事についても積極的に言及してしまう。

「国防長官に検討中」というジェームズ・マティス元中央軍司令官を「将軍の中の将軍」と後押ししたり、共和党大統領候補者指名争いでライバルだったベン・カーソン氏を「住宅都市開発長官に真剣に検討している」と明かしたり。環太平洋経済連携協定(TPP)の離脱通告を最優先に打ち出すと宣言した政権発足後100日行動計画を説明する動画もアップした。新政権情報の入手には、ツイートチェックが欠かせない。従来の関係各所取材に加え、書き込みを見て閣僚人事を報じるマスコミも増えた。

 前例のないトランプ流の情報発信は米国内で評判が悪い。喜怒哀楽を包み隠さないので悪口や愚痴が頻繁に登場するからだ。

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