コンビニやファーストフード店など幅広い場所で目にするようになったコーヒー。月刊情報誌「日経トレンディ」が発表した「2013年ヒット商品ベスト30」の第1位には「コンビニコーヒー」が輝いた。
そんなコンビニコーヒーの隆盛を商機と捉えるのは、コーヒーの総合企業、キーコーヒー。本格的なドリップコーヒー市場が成熟したことで、既存喫茶店の売り上げは上がっており、地方では洋菓子店などがカフェに業態変更しているという。
「コーヒーへの接触率が高まり、営業もしやすくなった」(経営企画部の茂田優さん)
ブームを好機と捉えるのは、コーヒーメーカーばかりではない。牛丼チェーンのすき家は、2007年にコーヒーメニューを本格導入。現在、全国1100店舗で提供している。
牛丼の後のコーヒーは、意外に合う。さっぱり感を重視した豆選びをしているというが、その酸味は口に残る「脂っぽさ」に加え、肉を山盛り食べたあとの「罪悪感」まで洗い流してくれるよう。昨今力を入れるスイーツとの併売も狙っているそうだが、すき家にとってもコーヒーは「牛丼に次ぐ、キラーコンテンツ」なのだろうか…?
「いえ、コンビニさんに比べたら、集客効果はまだまだです」(ゼンショーホールディングス広報室の廣谷直也マネジャー)
実はすき家のコーヒーは、東ティモール産の豆を使用したフェアトレードコーヒーだ。すき家を展開するゼンショーグループは「世界から飢餓と貧困を撲滅する」ことを目標にし、コーヒー豆を安定した価格で一定量買い取ることで、地域発展につなげようと考えた。
品質は、社内のコーヒー鑑定士が管理する。「こんなコーヒービジネスがやりたかった」と、コーヒーメーカーから転職してきた社員も。ビジネス街では通勤前にコーヒーだけを買う客もおり、1日100杯販売する店もある。
「コーヒーを通じて、当社の理念が伝われば幸いです」(商品開発担当の佐東力マネジャー)
※AERA 2013年12月16日号より抜粋