東京都中央区の湾岸エリアに立ち並ぶタワーマンション (c)朝日新聞社
東京都中央区の湾岸エリアに立ち並ぶタワーマンション (c)朝日新聞社
3大都市で地震の確率が高い自治体>>今後大地震が起こる可能性が高い自治体はこちら(週刊朝日2019年9月13日号より)
3大都市で地震の確率が高い自治体
>>今後大地震が起こる可能性が高い自治体はこちら
(週刊朝日2019年9月13日号より)
今後大地震が起こる可能性が高い自治体上位30【東日本】>>【西日本】はこちら(週刊朝日2019年9月13日号より)
今後大地震が起こる可能性が高い自治体上位30【東日本】
>>【西日本】はこちら
(週刊朝日2019年9月13日号より)
今後大地震が起こる可能性が高い自治体上位30【西日本】 (週刊朝日2019年9月13日号より)
今後大地震が起こる可能性が高い自治体上位30【西日本】 (週刊朝日2019年9月13日号より)

 近い将来に発生が懸念される南海トラフ、首都直下地震。編集部では、政府統計や、研究機関などが公表しているデータから、各自治体の地震の危険度を調査した。あなたの住んでいる街は安全だろうか。

【表を見る】3大都市で地震の確率が高い自治体/今後大地震が起こる可能性が高い自治体上位30

 四つのプレートが摩擦をひき起こし、活断層もひしめく地震列島の日本。巨大地震は津波を引き起こす可能性もあり、被害は甚大になる。歴史上、幾度となく起きている南海トラフ、首都直下がいま、迫っている。

 東京都中央区にある晴海埠頭。現在、東京五輪に向け、選手村の工事が着々と進んでいる。ここには地上50階、高さ170メートルを超える2棟の超高層マンションの建設も予定されている。晴海、勝どき、月島、豊洲といった湾岸エリアは人気があり、再開発でタワーマンションが次々と建てられている。

 しかし、今や首都直下や南海トラフといった大地震のリスクを考えると、地盤が弱いとされている湾岸周辺の高層マンションはちょっと心配ではないだろうか。

 隅田川を望むマンションの30階に3年前に引っ越し、夫と2人の子どもの4人で住んでいるという女性(36)は、地震への不安はあるが、「これまでに震度4以上は経験したことがなく、大地震について深く考えたことはなかった」という。最新設備を誇るタワーマンションなら大きな被害を受けることはない、と漠然とした安心感を持つ人は多い。

 しかし、名古屋大学減災連携研究センターの福和伸夫教授はこう釘を刺す。

「超高層ビルは安全とは言い切れない」

 たしかに超高層ビルは最新の技術が使われ、地震に強いと言われてきた。建物が地震の揺れと一緒に柔らかく揺れ、地震の揺れを減少させるからだ。福和教授が指摘する。

「今のビルは建築基準法の耐震基準ぎりぎりで造られているものが多い。となると、想定以上の地震の揺れが来たときに建物が耐えられず、損壊する可能性もある。実験で超高層ビルを模した建物を激しく揺さぶったところ、一見無傷。しかし、柱と梁の間で破断している箇所が見つかった。絶対に安全というわけではない」

 首都直下の地震が起こったらどうなるのか。内閣府がこんなシミュレーションを出している。

 木造住宅が密集する地域を震度7の地震が襲い、2階建ての家屋の多くが1階を押しつぶす形で倒壊。都内の埋め立てによって造られた湾岸地域では、超高層の建物が激しく揺さぶられ、住居であれば室内の家具が大きく移動する。

 ビルのガラスが割れ、破片が地上に降り注ぐ。道路は破壊され、自動車事故や鉄道の脱線、山間部では土砂崩れが発生し、多くの住宅が押し流され……。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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