東京都杉並区のアパート2階の部屋で3月26日、保育士の照井津久美さん(32)が殺害された事件は、謎の多い犯行現場だった。
照井さんは、北海道の高校から宮城県の大学を卒業後に上京。10年ほど前から杉並区の乳児院で保育士として、仕事をしていたという。照井さんは26日午前に乳児院の夜勤の仕事を終え、午前11時過ぎに、近くのカレー店で食事をした後、アパートに帰った。
その直後、何者かに襲われて殺害されたとみられる。
「照井さんは、コートを着た状態で背後から包丁で刺された状態で発見された。包丁は背中の左側に突き刺さっており、他には傷はなかった。傷の深さは15cmほどに及び、動脈が切れて、背中から胸近くまで達していた。包丁の柄の部分は、強い力で刺したせいか外れて、床に落ちていた」(捜査関係者)
犯人はベランダの窓から侵入したようで、窓のカギの部分だけを特殊な方法で破って、施錠を外して侵入していた。
「よく窃盗犯が使う、焼き破りといわれる手口で窓ガラスを破っている。ライターやバーナーのようなものでガラスを熱して、ドライバーなど先がとがったもので、突っつくとその部分だけ割れる。犯人は、カギのところだけ、小さくガラスを割っており、かなり熟練している人物の犯行とみられている」(捜査関係者)
そうなると、窃盗に入ったところに照井さんが偶然、帰宅して騒がれそうになり殺害したのかと思われる。しかし、アパートは物色された様子はなく、照井さんの財布もバッグから発見された。現場検証では、犯人につながるものはまだ見つかっていない。
玄関の周辺で小さな血痕が採取された程度だ。
そして、住民が黒いコートの30才くらいの男性が現場のアパートから立ち去るのを、目撃している。
この男性が事件に関与している可能性が強いとみられている。
あわてて走ったりするのではなく、ごく普通に歩いていたという。照井さんの乳児院での仕事ぶりは、まじめで責任感があるものだったそうで、SNSにはこんな意気込みが綴ってあった。