

知事選に続き、市長選についても告示され、統一地方選・前半戦の候補者が出そろった。ジャーナリストの田原総一朗氏は、今回の統一地方選で見込まれる“深刻な事態”を指摘する。
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大阪の“クロス選挙”を含めて、神奈川、三重、福井など、11道府県の知事選が3月21日に告示された。
24日には相模原、静岡、浜松、大阪など6政令指定都市の市長選、29日に41道府県議選と17政令指定都市の市議選が告示される。いわば統一選の前半戦である。
そして、後半戦の4月21日には、214市区町村の首長選、686市区町村の議員選に審判が下ることになる。
だが、実は現在、全国の自治体で深刻な事態が生じているのである。
4年ごとの統一地方選が始まったのは、1947年4月であった。今年で19回目である。
選挙をまとめて同じ日に行うのは、有権者の関心を高めるとともに、経費を節減することが目的だ。ところが、ほとんどの自治体で投票率が大きく落ち込んでいるのである。
第1回統一選での都道府県議選の投票率は81.65%であった。ところが、前回の2015年の投票率は45.05%にまで落ち込んだ。
ほかの首長選や議員選も同様の傾向で、統一選にかぎらず地方選の投票率の低下が著しいのである。
人口減少、少子高齢化で最もダメージを受けているのは、ほとんどの地方自治体だ。
ほとんどの地方自治体は、人口が減っているのに、魅力のある企業が少ないということで、若者たちの多くが東京や名古屋などの大都市に出ていってしまう。だから地方の、とくに中小企業は、どこも人手不足で、経営が悪化する。そのためにほとんどの市町村の経済が落ち込んでいる。
今回、政府が出入国管理法を改正し、外国人労働者の受け入れを拡大したのも、全国の中小企業経営者たちが、人手不足で倒産に追い込まれるとの悲鳴を上げ、そのおびただしい悲鳴が官邸にあふれたためである。
現在、東京都と総務省が、すさまじいケンカを繰り広げている。