ところが突然、アリアナが日本語の勉強を辞めたというニュースが。何でも、現在大ヒット中のシングル『7 rings』になぞらえて入れた『七輪』という漢字のタトゥーに「それじゃ焼肉だ」だの「ダサい」だのとイチャモンを付けられたことに傷つき、「日本語はもういい!」と可愛いおへそを曲げてしまったとか。言うまでもなくこの『七輪』は“seven rings(七つの指輪)”を意味しています。しかしどうしてこうもお節介というか、他人の粗探しばかりしている人が多いのか。「漢字や日本語を使うなら、ちゃんと勉強してからにして!」なんて、どの口が言っているのだか。そんなの日本人にとっては超特大ブーメランを食らうだけだと思うのですが。
その昔、成田空港の入国審査ゲートでは『外国人』を『Aliens(エイリアン)』と表示していました。みんな大好きカルピスは、名前が「“牛のおしっこ”に聞こえる」という理由から、英語圏では『カルピコ』として売られています。他にもJ-POPの歌詞やファンシーグッズなどに、日常的に破綻した英語が使われまくっています。そんな日本の英語・ローマ字事情に比べたら、アリアナの『七輪』なんてかわいいものです。それよりもあのタトゥー。なぜ手のひら側に彫ったのかの方が俄然気になります。さすがに手のひらに『七輪』は、いくらアリアナでもちょっと……。ともあれ彼女の日本語への熱意が復活することを願うばかりです。オリンピックに向けてか何か知りませんが、やたら外国人観光客に媚び諂(へつら)って変な英語を街中に氾濫させるより、彼らにこそ日本語の勉強を促した方が先決な気がします。日本人の英語はもう限界です。
※週刊朝日 2019年3月1日号