こんなことを書くと「女が男の年収を気にするのと、男が女のバストサイズにこだわるのとでは意味が違う!」と言う人もいるでしょう。しかし、その人にとっての『大事な条件』を蔑(ないがし)ろにしたら、他人なんかそう簡単には愛せません。しかもそれで未来や幸福がある程度見据えられる社会なのですから、文句を言っていたら罰が当たるってものです。願わくば、私だっていつか家や車を買うみたいに彼氏やパートナーを選んでみたい。
それはさておき、昨今は女性が男性に性的欲求や感情を剥き出しにする機会も珍しくなくなったようで、ドラマや映画で明白(あからさま)な『裸モノ』が増えましたし、男の乳首の市場価値も女性たちの「萌え」によってかなり確立され、私のような少数派もそのご相伴にあずかることができ、ありがたい限りです。欲を言えば、ちょっと綺麗過ぎる裸ばかりだなとは思いますが、それが女性目線の「萌え」なのでしょう。贅沢を言っちゃいけない。私が子供の頃は、男の裸と言ったらプロレスか大相撲か光GENJIぐらいなものでしたから。
正月に松坂桃李さん主演の映画『娼年』を家で観ました。そして新年早々ド胆を抜かれました。男のカラダを金で買う女性たちの存在は知っています。自らのカラダを売り、値踏みされることで気付きを得る主人公(松坂桃李)、それを通して描かれる作品の世界観も手に取るように分かりました。ただ、あれを『萌え目線』で、しかも映画館で観る女性が一定数いるのだとするならば、私は完全に白旗です。女ってすごいわ。
※週刊朝日 2019年2月1日号