“伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史氏は、米中貿易戦争が簡単に終わらないワケを解説する。
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先日、古巣の三井信託銀行(当時)千葉支店のOB・OG旅行でナガシマ先輩にこう言われた。「政治家はスポークスマンに過ぎない。周りの人が色々考えてそれを公の場で言うだけ。それと比べてフジマキは偉いよな、いつも自分で考えたオリジナル意見を言うからね」。横で聞いていたオオニシ先輩が一言。「人徳がなくて、支えてくれる人がいないだけじゃないの?」
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今回の分析はオリジナルすぎて(=個性的すぎて)真実とはかけ離れているかもしれない。あしからず。
中国の名目GDPは40年前と比べて220倍になった。1978年からの改革開放政策で「計画経済を放棄し市場経済にシフトしたから」と考えられる。
一方で、日本は40年間で2.5倍強で、成長率は先進国でビリ。「安倍政権発足後、景気は良くなった」という次元の話ではない。優秀な国民なのに、経済成長がビリとは根本的原因があるはずだ。
原因は、中国が計画経済から市場経済に移行したのに、日本は逆に計画経済・社会主義的経済を強化したからだと思う。大きな政府、規制過多、結果平等志向の税制、社会主義的株主資本主義、格差是正至上主義、競争回避、政府の春闘への介入……。こうした点によく表れている。市場原理が働かず、円が国力より高すぎたのも一因だろう。
中国は日本の失敗に学んだ。市場経済を推し進めたうえ、人民元を低く抑えるペッグ制を続けて世界の工場として君臨。1人民元は80年に160円だったが今やほぼ16円。1ドル=100円が1ドル=千円になったようなものだ。これで競争に勝ち、世界の工場になった。
現在の米中貿易戦争は、この勢いを止めなければというトランプ大統領の決意の表れではないか? であれば、関税撤廃などという枝葉末節(?)な解決策ではすまない。経済発展の原動力だったペッグ制廃止をも、米国は要求するのではないか。世界経済を牛耳るには中国が唯一の競争相手だと米国は感じている。貿易戦争で、ここまで強硬姿勢を貫く理由だと思う。