それから『笑っていいとも!』に出演した時(当時60歳)も素晴らしかった。「私、相当トロいもんでね、すぐ道に迷うんです。金八先生の時もスタジオから1回で出られたためしがない。大道具さんだとか照明さんの部屋に入って行っちゃうの。今日だってここに来るのに、あれが分からなくって。ほら、壁が割れますでしょ? 急に」と、今まで聞いたことのない形容の仕方で『エレベーター』を表現してみたり、コロコロとした指をタモリさんにイジられ、「そう、太ってますでしょ? それが面白いの! ある日お友達の大空真弓さんがね、どこか外国の地名が思い出せなくて悩んでて。だから私もいっしょになって『それはロンドン?』とか『パリ?』とか考えてたんですけど、ふと彼女の目線が私の指に止まってね。止まった瞬間『おかあさん! フランクフルト!!』って」と、この上なく秀逸なエピソードを披露されていました。さらには「だいたいいつ頃からこんなお肉が?」なんてあり得ない質問に対しても、「そうですね、やっぱり昭和32年ぐらいからでしょうかねぇ」という、これまたとんでもなく謎な珍回答をされたり、とにかく可愛らしくて面白い。
余談ですが、世の中の様々なものと『赤木春恵』をコラボさせるのが、昔から密かな楽しみでした。例えば『赤木春恵ちゃん自転車』とか『CR赤木春恵』とか『Dragon Ash featuring 赤木春恵』とか。以前『ザ・ベストテン』の特番で、男性司会者が「CMの後はあの女優さんが唄ったヒット曲の登場です!」と煽ると、黒柳さんが間髪入れずに「赤木春恵さん!!」とボケたことがありました。「あ、徹子さんも同じ遊びをしてる!」と妙に嬉しかったものです。主役ではなかったからこそ成立する可笑しみ。まさに名脇役の極み。私の夢は、嵐ジェットでもポケモンジェットでもなく『赤木春恵ジェット』に乗ることです。
※週刊朝日 2018年12月21日号
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