ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「沢田研二」さんを取り上げる。
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ジュリー(沢田研二さん)の公演ドタキャン騒動から1カ月。昨今のフルボッコ・バッシング・ブームの矛先がいよいよジュリーにまで向けられるのかと、げんなりしていたのですが、結果ジュリーという稀代のスーパースターの特異な存在をより浮き彫りにさせた感がすごい。
この度、ニュース番組やワイドショーなどで『沢田研二』の名前や映像を目にした40代以上の人たちは、多かれ少なかれ「ジュリーが久しぶりに表舞台に戻ってきた!」と胸を躍らせたのではないでしょうか。この『表舞台』とは、ずばりテレビです。そう、ジュリーはここ10年ぐらいテレビの世界とはとんと疎遠になっていました。過去の名曲を振り返る番組などでも、ジュリーの映像を使用するのは非常に困難と言われています。例えば、昔の歌番組なんかで、歌っている歌手の後ろに他の歌手の姿が映りこんでいるシーンをよく見かけると思いますが、あれすらもジュリーは基本NGというのがテレビ界の常識です。
60年代のGS時代に始まり70年代・80年代と、日本の芸能・音楽界におけるスーパースター像を確立した第一人者であるジュリー。もちろんそれはテレビでも同じでした。ジュリーを通して映像技術や照明技術、はたまたメイク技術やファッションの最先端を知ることができた。ブラウン管の中でジュリーがキラキラと歌っているからこそ、私たちはテレビに夢や憧れを抱けたと言っても過言ではありません。しかし最後に紅白歌合戦に出場した1994年ぐらいを境に、ジュリーはめっきりテレビを遠ざけ始めたのです。