漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「dele(ディーリー)」(テレビ朝日系 金曜23:15~)をウォッチした。
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深夜にまたひとつ、忘れがたいドラマが誕生した。それは、消えていく記録と消せない記憶の物語。
描かれるのは、依頼人の死後、不都合なデジタルデータを秘密裡に削除する仕事。死後消したいデータ、あるよね。だいたいエロ画像とか、エロ画像とか、エロ画像なわけだが。
しかし、この物語が扱うデータはエロ方面じゃない。目の前にあるPCやスマートフォンは、まるでパンドラの箱だ。その中にある、死者がどうしても残したくない秘密とは。
二人の男がその箱の鍵を開け、死者の秘密をひもといていく。車椅子のクールなプログラマー・圭司(山田孝之)。彼をサポートし、人の懐に易々と飛び込み、故人の情報を聞き出す祐太郎(菅田将暉)。まず二人の凸凹なコンビネーションが、このドラマの魅力だ。
そして、思いがけない毎回のゲスト。依頼人、つまり死者の役が、ほとんどいわゆる俳優じゃない。
2話のガールズバーで働く女性役は、ミュージシャン・水曜日のカンパネラのコムアイ。3話の古い写真館館主役は、作家の高橋源一郎。4話の元・超能力少年役は、これもミュージシャン・RADWIMPSの野田洋次郎だ。
なんせ、だいたい出てきてすぐ死んじゃうから。ほとんどセリフないから、半分素人でも大丈夫っていう潔い配役が新鮮。