

7月3日に閣議決定された、新たなエネルギー基本計画。ジャーナリストの田原総一朗氏は、安倍政権の無責任な原発増設計画に疑問を投げる。
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西日本がかつてなかった豪雨による大被害を受けたが、なんと気象庁が「記録的な大雨になる恐れあり」と発表した7月5日の夜、安倍首相をはじめ自民党の幹部たちが、衆議院議員宿舎で開かれた“赤坂自民亭”なる懇親会に出席したことが露呈して大批判を浴びている。
こんなときに場違いな話題で申し訳ないが、今回は原発問題について記したい。
3日に閣議決定した新たなエネルギー基本計画が、あまりにも無責任だと思えるからである。
たとえば、小泉純一郎氏は、首相時代は原発推進派であった。その小泉氏が原発反対を打ち出すことになったのは、フィンランドのオンカロを見学した後である。オンカロとは、地下500メートルくらいのところに空間をつくり、原発の使用済み核燃料を保管する場所のことなのだが、小泉氏が「オンカロに保管された使用済み核燃料が無害化するのにどのくらいかかるか」と問うと、答えは10万年であった。そこで小泉氏は原発反対となったのである。
だが、日本にはオンカロもなく、またオンカロをつくる具体的な計画もない。それでいて何の処理もされていない使用済み核燃料が、すでに1万7千トンもあるのだ。
ところが、経済産業省は2030年度の電源構成について、原発比率20~22%を目指す、としている。となると、30基程度の稼働が必要である。
東日本大震災で、福島の東電原発が深刻な事故を起こして、すべての原発が停止され、再稼働したのは関西電力や九州電力などの計9基だけである。
しかも、日本では原発が稼働できるのは40年間とされていて、現在ある原発がすべて再稼働したとしても、とても30基にはならない。その半分程度である。
となると、経産省の目標を実現するには、原発の新設が必要になる。経産省の目標ということは、つまり安倍内閣の目標でもある。