16年前、新婚旅行で世界一周をした吉田友和さんと松岡絵里さん。夫は旅行作家で編集者、妻はライターで編集者。607日間の旅の様子をリアルタイムでホームページにアップし、帰国後は本として出版。仕事も人生も「旅一色」になった二人の道のりとは。
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夫:最初に会ったのは大学1年のとき。サークルが一緒だったんです。
妻:旅行サークルじゃなくて音楽のサークル。それに当時は付き合っていたわけじゃなく、単なるサークル仲間でした。
――妻は小学校時代を台湾とフィリピンで過ごし、学生時代もバックパッカーとして世界を回っていた。一方、夫は海外旅行の経験ゼロ。趣味は音楽とゲームという完全なインドア派だった。
夫:僕は高校時代からDJをやっていて、当時は音楽しか興味がなかった。
妻:海外旅行なんてぜんっぜん興味なかったもんね。私がインドやタイに行った話をしても「へえ」って。
夫:まったく響いていなかった(笑)。
妻:卒業後はしばらく疎遠だったんですが、3年目に再会したら、偶然どちらも出版社勤務だったんです。私は音楽雑誌で、彼はIT系雑誌で。
夫:どちらも深夜1時に打ち合わせが終わるような生活だったので、そこから遊びに行くようになった。時間帯が合ったんだよね。
妻:それが大きかったね。再会して1カ月後には「結婚しよう!」って。完全に勢いでした。
夫:どちらかというと、「結婚」そのものより、結婚パーティーと新婚旅行がしたかった(笑)。
妻:私は学生時代、フィリピンで世界一周をしている人に会ったんです。その人は家も車も処分して旅に出たと言っていた。「そんなことができるんだ! 私もいつか長い旅行をしてやろう」と虎視眈々と狙ってた。
夫:だから僕がノリで「新婚旅行、世界一周でもしちゃう?」と言ったら……。
妻:「実はずっとしたかったんだよねー!」って。
――こうして二人は結婚と同時に会社を“寿退社”し、一人200万円の軍資金で世界一周ハネムーンへと旅立った。