「安倍さんの地元(山口4区)から出たいのよね」。衆院解散当日、渦中の小池百合子都知事(65)は周辺にこう軽口をたたいたという。民進党との電撃的な“合流”によって一気に「政権交代」を世に印象づけ、初の女性首相の座も夢ではない勢いだ。だが、その野望の前には壁が……。
10月2日に予定されていた衆院選の第1次公認候補発表が、3日以降にずれ込んでいる小池氏率いる「希望の党」。
小池氏は愛知県の大村秀章知事、大阪府の松井一郎知事と3者で9月30日に会談。希望の党の本拠地の東京と、維新の会の本拠地の大阪で、お互いに候補者をすみ分けることを確認するなど矢継ぎ早に選挙への布石を打ち、テレビジャックを続けている。
さらに、ダメ押しにこんな“秘策”まで準備しているという話もある。
「消費税8%から5%への減税表明という隠し玉が腹案としてあるようです。大都市圏だけでなく岩手、静岡、新潟、鹿児島など地方での勢力が大きくなれば、大化けする可能性がある」
だが、小池氏が政権交代を成し遂げて初の女性宰相となるには、多くの壁が存在する。まず、小池氏の衆院選出馬問題だ。
後任の都知事として永田町界隈では橋下徹氏、野田聖子氏、小泉純一郎氏、進次郎氏などの名前が浮かんでは消えるものの、いずれも臆測の域を出ない。
「松沢成文氏や中山恭子氏も想定していたが、東国原英夫氏あたりに対抗馬に立たれたら負ける。悩ましいところです」(小池氏側近)
都民ファーストの会(以下、都ファ)関係者がこう言う。
「後継の話はぜんぜん聞こえてこない。小池氏の指名した候補が都知事選で負けたりしたら、議会運営は大変になるでしょうね」
国政選挙の下支えをする足元の都議からも不協和音が聞こえてくる。
都議選で大勝し55人の最大勢力となった都ファでは、所属議員にメディアの取材に自由に答えることを認めない党の方針が物議をかもした。それだけではなく、なんと「飲み会禁止令」まで出され、議員たちの反感を買っているという。都政関係者がこう語る。
「飲み会に行くと仲の良いグループができて『分派活動になる』というのが禁止の理由だったようです。前任の野田数代表は常々、『派閥をつくらせない』と公言していましたから。代表が荒木千陽氏に代わってからはわかりませんが、禁止令が解除されたという話も聞かない。表だって行きにくい空気は今もある」