大火事から一晩あけた築地場外市場の周辺(撮影・多田敏男)
大火事から一晩あけた築地場外市場の周辺(撮影・多田敏男)
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火元周辺は立ち入り禁止に(撮影・多田敏男)
火元周辺は立ち入り禁止に(撮影・多田敏男)
ラーメンの名店「井上」周辺には青いシートがかけられていた(撮影・多田敏男)
ラーメンの名店「井上」周辺には青いシートがかけられていた(撮影・多田敏男)

 東京都中央区築地4丁目の築地場外市場で3日午後5時前に発生した火事は、消火までに約15時間かかった。けが人はいなかったが、合わせて7棟、約935平方メートルが焼ける大きな被害となった。

【「井上」周辺の現在の様子はこちら】

 一夜明けた4日も多くの消防車や警察車両が止まり、出火原因などを調べていた。周囲には焦げたような臭いが立ちこめ、焼け落ちた看板なども見られた。

 築地場外市場は多くの外国人が訪れる観光スポット。英国BBCなど海外メディアも報じる世界的なニュースになった。

 焼けた店舗には、早朝の午前4時30分ごろから営業していることで有名なラーメン店「井上」も含まれていた。出火当時は営業を終えていて、客や従業員はいなかった。ラーメン店の周辺が火元だった可能性も指摘されており、営業再開のめどは立っていない。

 井上は観光ガイドやラーメンの紹介本にも登場。ネットのグルメサイトでも、高い評価を得ていた。早朝から数十人が列を作り、最近では外国人の客も増えていた。

 記者も何度も食べたことがあるが、しょうゆスープにちぢれた細麺の「どこか懐かしい味」だ。魅力のある老舗だっただけに、再開が望まれる。
 
 ただ、井上を含め火元周辺では、建物に大きな被害が出ている店が目立つ。営業を再開するとしても、かなり時間がかかりそうだ。

 一方で、築地場外市場では4日早朝から、通常通り営業している鮮魚や青果、飲食店なども多い。現場のすぐ裏の通りでも、多くの買い物客らが訪れていた。

 すしチェーン「すしざんまい」を運営する喜代村(東京)によると、築地4丁目周辺にある4店舗が、直接の被害はなかったものの3日は臨時休業した。4日昼までには全ての店で営業を再開したという。同広報担当者がこう話す。

「お客さんがいつも通り来てくれて、お昼時には満席になる店もあった。ありがたかった。今回の火事では大きな被害を受けた店もあるので、みんな心を痛めている。早く場外市場が元に戻って欲しい」 
 (本誌・多田敏男)
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