
就職活動での学力アピールや企業研究の努力について、学生の自己評価は高い一方で、企業の学生を見る目が厳しくなっている。リクルートキャリアが2月15日に発表した「就職白書2017」で、そんな実態が明らかになった。同社就職みらい研究所は「入社予定者の質に対する企業の満足度は低下しており、学生とのギャップが広がっている」とみている。
白書は、17年卒の学生の就職活動についての調査結果を記している。企業1229社と学生2295人が答えた。
自らの学力について、「十分」「どちらかというと十分」と答えた学生は全体の約43%。16年卒の約41%から増えた。一方で、学生の学力を「十分」「どちらかというと十分」と評価した企業は、16年卒の約52%から17年卒は約49%に落ちた。
また、企業研究が「十分」「どちらかというと十分」と自己評価した学生は、17年卒が前年とほぼ横ばいの約41%。学生の企業研究を「十分」「どちらかというと十分」と評価した企業は、17年卒が約30%で、前年の約35%から大きく低下した。
岡崎仁美・就職みらい研究所長は「雇用環境が改善して売り手市場なこともあり、学生の就職活動は“まっしぐら型”だった。企業研究が不十分なままで、面接を受ける学生が増えたようだ。また、企業が学生に求める学力は高くなってきている」と話す。
18年卒の採用活動見通しは、全体の約6割の企業が採用人数や採用コストについて、前年と「変わらないと思う」と答えた。アルバイト等からの社員登用や地域限定社員など、採用形態もさらに多様化していくとみられるという。
岡崎所長は「今どきの若者は、目の前に見える手触り感のある選択肢の中から、進路を選ぶ傾向が強まっている。このため、アルバイト等からの社員登用も、しやすくなっているのではないか」と話している。
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