国民的アイドルグループ「SMAP」の年内解散が報じられた。紅白への参加や解散コンサートの告知もなく、5人そろわないまま幕切れとなる可能性が出てきた。アイドル評論家の中森明夫氏が率直な思いを寄せた。
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8月14日、スポーツ紙はすべて1面トップで扱いましたが、大本営発表そのままに、ほとんど同じ内容でした。
一応、本人たちのコメントは載っていますが、話したものなのか、書いたものなのかさえ判然としない。本当に彼らが言ったことなのかと疑念を抱かざるを得ません。記者会見も個別会見もやらないし、テレビや新聞は独自取材をしようとしない。
SMAPは戦後最大のアイドルです。結成から28年間にわたって、これほどの人気を保ち続けた例は過去にありません。世界を見渡したってない。こんな幕引きでは、ファンは到底納得できないでしょう。
あのビートルズだって活動期間は10年でした。メンバー間の不仲から解散に発展した点は、ビートルズと似ています。ポールと他の3人との間で訴訟沙汰にまでなったのは、不幸な終わり方だったと思います。それでもハッキリと、社会から目に見える形にした。少なくとも、今回のSMAPのようになし崩し的ではありませんでした。ビートルズより、ある意味、不幸かもしれません。
このままではアイドルカルチャーは死ぬ。現状に疑問を持つ現場の記者もいて、いろいろと核心的な情報を伝えてきてくれました。僕には何の義理もありませんが、彼らから得た情報をファンに向けてツイッターで発信し続けました。
天皇陛下が生前退位のお気持ちを、国民に向けて映像と肉声で語られたというのに、SMAPにはそれすらないわけです。いつの間に皇室以上にアンタッチャブルな存在になってしまったのか。これまでの芸能史においても異様な状況です。
※週刊朝日 2016年9月2日号