第3次安倍改造内閣の閣僚ら (c)朝日新聞社 @@写禁
第3次安倍改造内閣の閣僚ら (c)朝日新聞社 @@写禁
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「手堅いが、新鮮味がない布陣」と評される第3次安倍改造内閣。あまり報じられていないが、閣僚、官邸の主要メンバーには、ある共通点があった。そのほとんどが宗教と関わりの深い二つの団体に所属しているのである。

「神道政治連盟」(以下、神政連)と、同団体と密接な関係にあるとされる日本最大の保守系団体「日本会議」――。

 新内閣や首相側近の顔ぶれを見ても、その影響力の強さは明らかだ。閣僚、官房副長官、首相補佐官に選ばれた国会議員計25人のうち、実に22人までもが神政連国会議員懇談会に所属。また、本誌の取材で判明しただけで16人が日本会議国会議員懇談会のメンバーなのだ。

 神政連は神社本庁を母体として1969年に設立された政治団体だ。

 公式サイトには、<神政連は皇室の尊厳護持運動を活動の第一に掲げています>と記述され、森喜朗氏が首相時代の2000年、「日本は天皇を中心とする神の国」と発言して問題となったのは、神政連国会議員懇談会でのことである。

 同国会議員懇談会には、今年8月現在で303人もの国会議員が所属。その会長は、他ならぬ安倍首相が務めている。

 そして神政連の公式サイトでは、憲法について、こんな主張をしている。

<現行の日本国憲法は、残念ながら日本人として自信と誇りを持てない恥ずかしい憲法です>

<他国人が起草した、違和感のある非現実的な日本国憲法を維持していることを、日本人は何よりもまず「恥ずべきこと」と考えなければならないでしょう>

 憲法99条で国会議員には憲法尊重擁護の義務が課せられているのだが……。

 また、神政連のサイトでは「“A級戦犯”とは何だ!」という冊子も公開。

<東京裁判は国際法を無視した報復裁判>

<いわゆる“A級戦犯”合祀は妥当な措置だといえる>

 などの主張も掲載。愛国心を養う教育の必要性も訴えている。

 一方、神政連と主張や活動内容が重複する国民運動団体である日本会議は、前身である「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」が97年に合併してできた組織。全都道府県に本部を持ち、会員数は約3万8千人。宗教界とのつながりも濃厚で、役員には神社本庁、崇教真光、霊友会、熱田神宮、黒住教、比叡山延暦寺など数々の有力宗教団体の幹部が名前を連ねている。

 日本会議国会議員懇談会には今年6月現在、衆参両院で281人の国会議員が所属。役員名簿を見ると、安倍首相と麻生太郎財務相が特別顧問、谷垣禎一幹事長が顧問、菅義偉官房長官が副会長、衛藤晟一、柴山昌彦両首相補佐官、萩生田光一官房副長官、礒崎陽輔前首相補佐官、木原稔前自民党青年局長ら、自民党の“安倍シンパ”とされる面々が勢揃いしている。

 また、高市早苗総務相、稲田朋美政調会長、今回閣僚を外れた山谷えり子前国家公安委員長、有村治子前少子化担当相、さらに、今回初入閣した丸川珠代環境相、島尻安伊子沖縄・北方担当相も幹部名簿に名前が。これらの議員の多くは神政連国会議員懇談会にも加入している。新旧「安倍ガールズ」は、日本会議・神政連グループの一員でもあるのだ。 

 日本会議のホームページを見ると、次のような主張が掲げられている。

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