<彼女はその15ドルのローンを手にする。ぶるぶる震える彼女の手の上で、金はキラキラ輝いている。(中略)今日、彼女の人生ではじめての出来事が起こった。グラミンという組織が、彼女を信じて金を貸してくれたのだ。彼女は本当に驚いた。そして心に誓った。そこまで自分を信用してくれているこの組織を裏切るようなことは決してしない、と。>『ムハマド・ユヌス自伝 貧困なき世界をめざす銀行家』(早川書房)から抜粋

<STORY 5> 多くの人を貧困から救い出すことに成功

 ふたを開けてみると、担保のない借り手の返済状況は大きな銀行よりもずっとよかった。それは、貧しい人にとってはそのお金が、今の状況を打ち破ることができる唯一の手段だったから。

 グラミン銀行の融資はバングラデシュの人口の10分の1までに行き渡り、10年間にグラミン銀行からお金を借りた人々の3分の1を、貧困から救い出せたことがわかっている。

<STORY 6> 世界、そして日本へ

 この功績がたたえられ、ユヌスとグラミン銀行は2006年、ノーベル平和賞を受賞した。驚くべきことにグラミン銀行は、貧しい国だけでなく、アメリカやイギリスなどの先進国の貧困層に対しても成功を収めている。

 18年夏、ついに日本でも「グラミン日本」が設立される予定だ。

※月刊ジュニアエラ 2018年3月号より

ジュニアエラ 2018年 03 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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