小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で連載中の「プリンス堀潤のそもそもキーワード」。今回は「人道支援」について一緒に考えます。
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「平和」というのは、どうすれば実現できるでしょうか? 難しい課題ですが、ぼくが注目するのは「人道支援」という活動です。人道支援とは、紛争や災害など、緊急事態に見舞われた地域で、人命救助を行ったり、人々の苦痛を軽減させるために食料や医療を提供したりして、困難に直面した人たちが、人間らしく生きられるようにさまざまな支援を行うことです。
人道支援は、国連や、NGO(非政府組織)と呼ばれる民間の団体が中心に行い、四つの原則があります。
(1)どんな状況にあっても、一人ひとりの人間の生命、尊厳、安全を尊重する「人道原則」。(2)国籍、人種、宗教、社会的地位または政治上の意見による差別を行わない「公平原則」。(3)政治的、人種的、宗教的、思想的な対立において、一方の当事者に加担しない「中立原則」。そして、(4)どんな立場にも左右されずに、自主性を保ちながら人道支援を実施する「独立原則」です。こうした原則を守ることで、紛争が起きている地域でも活動を続けることができるのです。
先日、ぼくはアフリカや中東、アジアなど、11カ国・地域で人道支援を続ける国際NGO「日本国際ボランティアセンター(JVC)」で、20年以上前からパレスチナ・ガザ地区で活動するみなさんに取材しました。
訪れたジャバリヤ市ビルナージャは、長引く紛争によって仕事を失い、安定収入が見込めない世帯が多い貧困地区。偏った食事のせいなどで骨に栄養が回らず、成長過程で足が曲がってしまう子どもも少なくありません。JVCでは2013年から、こうした状況を改善するため、地元のNGOと協力して、その地域に住む母親たちに、栄養に関する知識や献立などを指導しつづけてきました。4年間のプログラムが終わり、この地域における栄養失調は0になったといいます。
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