子どもの歯並びが悪いとき、ちょっと気になり始めるのが歯の矯正治療。『AERA with Kids 夏号』(朝日新聞出版)では、子どもの矯正歯科について紹介しています。まずはいろいろ耳に入ってくる矯正歯科にまつわる話は本当はどうなのか、日本矯正歯科学会・認定医のみむら矯正歯科院長、三村博先生に聞きました。

【歯科矯正をするなら、子どもが小さいうちから始めたほうがよい】
 →×ウソ

 矯正治療は子どものアゴの骨の成長も見て進めいく必要があるため、早く始めればその分早く治療が終わるわけではありません。治療開始には適切な時期があるので、矯正歯科医に相談しましょう。

【歯並びや噛み合わせが悪くても、アゴの成長によって自然に解消する】
 →×ウソ

 たしかに子どものアゴは成長します。けれどもその成長の仕方は、後ろの方向にどんどん伸びていくだけ。前歯が並ぶ辺りの横幅はほとんど成長しないので、歯並びが乱れている、乱ぐい状態は自然解消しません。歯並びのデコボコがひどく目立つようなら矯正治療は必要です。

【虫歯ができにくいのは体質だから、歯並びとは関係がない】
 →×ウソ

 虫歯になるかどうかは体質よりも、口の中のケアがきちんとできているかによります。虫歯はミュータンス菌による感染症で、ミュータンス菌の出す酸によって歯が溶ける病気です。歯並びが悪い部分は歯ブラシが届きにくく、ミュータンス菌のつくる歯垢の磨き残しができてしまいます。そのため、きれいな歯並びの子よりも虫歯になるリスクが上がってしまいます。

【矯正治療は2年間がんばればいい】
 →×ウソ

 子どもによってはアゴの状態や骨格の改善も必要です。矯正治療は検査や診断、経過観察、治療などトータルで進められていくため、2年以上かかることがほとんどです。

【矯正を始めると運動や食事に制限がでる】
 →△半分ホント

 運動・スポーツの制限はまったくありません。食事に関しては、歯や矯正器具に付着しやすいもの、キャラメルなど粘着性の高いお菓子は避けたほうがいいかもしれません。

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AERA dot.編集部
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