2003年に伊奈学園(埼玉)が誕生して以降、いまでは首都圏で21校に増えた公立中高一貫校。「私立の中高と比べて学費が安く、大学進学にも有利」として人気を博している。最新の中高一貫校について、中学受験情報誌「カンペキ中学受験2018」(朝日新聞出版)から抜粋してお届けする。
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従来「中高一貫校」といえば私立国立の独壇場で、公立一貫校の設置は画期的な改革だった。大学進学に有利とされている中高6年間を見通したカリキュラムで、教育内容も充実。一般の公立中よりも主要教科の授業時間を多くし、少人数教育や独自教科を設けるなどして、注目を集めた。さらに学費は公立中と同じで負担が軽い。その結果、開設当初は爆発的な人気になり、応募者が定員の10倍を超えた。現在は5~6倍に落ち着いている。
栄光ゼミナール入試サポート部課長の山中亨さんは言う。
「私立中と比較すると、依然として高い競争率であることに変わりありません。以前は“お試し”で受検する子どもも大勢いましたが、簡単には合格できないことがだんだんとわかってきました。そのためお試し受検者が減り、本当に入学を志望する子どもに絞られてきています。当初は何を勉強すればいいのかわからない状況で、ちょっと作文の上手な子どもが合格するケースもありましたが、今は過去問を分析し、しっかり入試対策をしないと合格できなくなっています。競争率は下がっているものの、むしろ以前よりも入試状況は厳しくなっていると感じています」
公立中高一貫校は既存の高校を母体とし、新たに中学課程を開設する。「中等教育学校」「併設型」「連携型」の3種類がある。
その中で人気なのが、一つの学校として6年間教育を行う「中等教育学校」と、同一自治体が設置する中学と高校を接続した「併設型」だ。「中等教育学校」は、後期課程にあたる高校からの募集は行わず、6年間の柔軟なカリキュラム編成が可能。「併設型」は高校からも募集を行うため、新しい生徒が入学して一貫生に緊張感が生まれ、中だるみがしにくいといわれている。「連携型」は、中学と高校で設置者が異なり、カリキュラム編成や教員・生徒の交流などで連携を深める形式だ。
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