国会で議論が続けられている森友学園の国有地売却問題。国有地ってどんなもの? 今回の国有地の売買の経緯で、どこに問題があったの? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞社会部・鎌内勇樹さんの解説を紹介しよう。
■国有地は国民の財産
学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題が、安倍政権の足元を揺るがしている。
学園は大阪市淀川区で幼稚園を運営。そして今年4月開校を目指し、大阪府豊中市に「日本初の神道の小学校」を建設していた。
学園が取得した小学校用地(約8770平方メートル)は、国土交通省大阪航空局が管理する国有地だった。
国有地は国民の財産だ。国が有効に使うか、自治体などに適正価格で売って活用してもらわなければならない。まず都道府県や市町村、次に社会福祉法人や学校法人などに公共目的での購入希望を募り、それでも売れなければ一般競争入札にかけるのが原則だ。
今回は、大阪航空局が財務省近畿財務局に頼んで売却先を探した。2010年、豊中市が東隣の国有地(約9492平方メートル)と一緒に公園にしたいと希望した。しかし東隣だけで約14億 2300万円かかり、予算が足りずに断念した。
次に別の学校法人が校舎を建てたいと、11、12年に7億円前後で交渉した。途中、一部の土が有害なヒ素や鉛で汚染され、地下にコンクリートがらなどが埋まっていることが判明。この法人は、汚染土などの除去費約2億5千万円を負担して約5億8千万円で土地を買うと伝えたが、財務局は「価格が低い」と応じなかった。
■問題の多くは未解明のまま
森友学園は13年、小学校用地として使いたいと希望した。土地をすぐに買って校舎を建てる資金がなく、寄付で補う方針だったため、借地契約を望んだ。
国有地を学校法人に貸すのは異例だが、財務局は10年以内に学園が必ず買うことを条件に、15年5月に貸した。ところが16年3月、学園は地中から新たに大量の生活ごみが見つかったと財務局に報告。国が撤去するには入札などで時間がかかって開校が遅れるため、すぐに土地を買うと申し入れた。財務局は同年6月、更地の鑑定価格9億5600万円からごみ撤去費8億1900万円などを引いた1億3400万円で売った。価格を1坪(約3.3平方メートル)当たりで比べると、豊中市が買った東隣の国有地の約10分の1。10年間の分割払いまで認めた。
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