高画質で撮影された写真のピースサインから指紋が盗まれる可能性があるというニュースが話題になった。いったいどういうことなのだろうか? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、サイエンスライター・斎藤幾郎さんの解説を紹介しよう。

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 指先の皮膚の模様である指紋は、一人ずつ違っているので、公的な本人確認にも使える。この指紋を盗まれると、誰かが自分になりすます可能性があり、とても危ないというわけだ。

 指紋による本人確認のしくみを「指紋認証」という。セキュリティーを重視したパソコンや、建物のセキュリティーなど、意外と広い範囲で使われている。近年はスマートフォン(スマホ)でも使えるようになり、より身近になった。指のワンタッチでロックを解除したり、買い物をしたりできる。こうした指紋認証の際に、盗まれた指紋が勝手に使われてしまうといえば、危なさがわかってもらえるだろう。

 もっとも、ピースサインの写真がそのまま指紋として使われるわけではない。コンピューターで画像を処理して指紋の模様を取り出し、それをもとに、指に近い性質を持った素材に指紋の模様をつけて「偽の指」を作る必要がある。かなりの手間とコストがかかるのだ。それに、スマホのロックを解除するなら、指紋が登録してあるスマホそのものも盗まなくてはならない。

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斎藤幾郎
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