本来、難民・移民のような地球規模の問題は一国だけでは解決できない。テロリストの入国は防げても、難民や移民に冷たい態度やイスラム教徒に対する偏見・差別が、新たなテロを生む可能性も残る。
この悪循環をどう断ち切るか。国際社会がいかに寛容な心を保ち、協力し合えるかが問われる。
■世界5大ニュース!
<NEWS1>
アメリカ、4年に1度の大統領選挙
国会議員全員の投票から議決で指名される日本の総理大臣と違い、アメリカの大統領は国民が選挙で決める。二大政党の民主党と共和党は、まず2月からアメリカの50の州などで予備選挙や党員集会を開き、正式な候補を絞り込んでいく。11月の本選挙も、各州に割り当てられる「選挙人」を選ぶ。選挙人の票を多く集めた候補が当選するしくみだ。
<NEWS2>
ブラジル、南アメリカ初のオリンピック・パラリンピック
日本の約23倍の国土面積を持つブラジルの人口は約2億人。うち約190万人が日系人だ(推計)。鉄鉱石など地下資源が豊富で、近年経済成長を遂げた新興国。首都はブラジリアだが、大会はリオデジャネイロで開催された。多発する犯罪やジカ熱流行で危ぶむ声もあったが、無事成功した。18年冬季大会は韓国・平昌。20年夏には東京で2度目の開催となる。
<NEWS3>
イギリス、国民投票でEU離脱が決定
ヨーロッパ連合(EU)には28カ国が加盟(地図の青色部分)。貿易や産業、社会、政治などさまざまな分野で共通のルールを定めている。協力関係を深めて平和なヨーロッパを実現し、国を超えた人や金の移動を促して強い経済圏を築くのがねらいだ。しかしイギリスでは、重要な政策がEUに決められることへの不満や移民に職を奪われる不安も広がり、離脱を求める票が残留を上回った。
<NEWS4>
南シナ海をめぐる裁判
南シナ海は重要な海上交通ルートで天然資源の存在も指摘されている。このため中国、台湾、ベトナム、フィリピンなどが領有権を主張。とくにほぼ全域の領有権を主張する中国は人工の島を造成して軍事拠点化する動きが活発だ。フィリピンが中国を訴えた裁判で、常設仲裁裁判所は中国側の主張を否定。中国は判決を受け入れないと反発している。
<NEWS5>
テロが多発、ISの関与も
「イスラム国」(IS)の影響を受けたとみられるテロが世界中で相次いだ。石油を密売したり住民から「税金」を徴収したりして資金を集める。他宗派や他宗教の住民を拷問・処刑するなど残虐さが際立つ一方、ネットでジハード(聖戦)を呼びかけるなど宣伝は巧みだ。欧米主導の対テロ作戦でシリア、イラクでは勢力範囲が狭まる半面、アフリカやアジアなどに活動の場を広げているとみられている。
※月刊ジュニアエラ 2017年1月号より