二つ目の特徴は、同時にたくさんの機器と通信できることだ。例えば、工場にはたくさんの機械があるが、それらを自動で効率よく動かせるようになる。「loT」(モノのインターネット)と呼ばれる技術だ。

 家庭でも冷蔵庫やエアコンといった家電がネットにつながるようになってきている。今後は、冷蔵庫にある卵が少なくなったら自動で注文して買うことができるようなサービスも登場しそうだ。

 5Gは私たちの生活をより便利にしてくれるが、まだまだ課題も多い。携帯電話会社は5Gの電波を出す基地局を急いでつくっているが、まだ少ない。春のサービス開始時、5Gが使える場所はごく一部に限られる。日本の多くの場所で使えるようになるには数年はかかる見込みだ。

 また、いろんなモノがネットにつながるようになると、情報が抜き取られたり、乗っ取られて外部から勝手に操作されたりする危険性も高まる。5Gを普及させるには安全対策が不可欠になるといえる。

 世界では、昨年4月にアメリカ(米国)と韓国が初めて5Gのサービスを始めた。2020年2月現在、30カ国以上に増えているとみられる。日本は米韓から約1年遅れのスタートになる。

 5Gの技術は、通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)などの中国の企業が先行している。基地局に使われている機器は、ファーウェイが世界で約3割のシェア(市場占有率)を持つ。日本の富士通やNECは合わせて1~2%しか使われておらず、存在感は小さい。

 さまざまな分野に応用できる5Gの技術は将来の国の力を左右するほど重要だと考えられている。そのため、米国はファーウェイに対して輸出を規制するなど圧力を強めていて、米中摩擦の要因にもなっている。

<loT>
Internet of Things(モノのインターネット)の頭文字で、自動車や家電など身の回りにあるあらゆるものがネットにつながるという考え方。機器の自動制御や遠隔操作などができるようになる。

(朝日新聞社経済部・井上亮)

※月刊ジュニアエラ 2020年4月号より

ジュニアエラ 2020年 04 月号 [雑誌]

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井上亮
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