通信速度が今の数十倍速くなる新しい通信方式「5G」のサービスがこの春始まる。スマートフォンがより便利になるだけでなく、医療や工場などの現場でも活用が広がりそうだ。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」4月号では、専門記者が解説した。
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「5G」のGは、英語の「Generation」(世代)の頭文字で、携帯電話などに使われる第5世代の通信方式という意味。NTTドコモは今年の春、KDDI(au)とソフトバンクは3月、楽天モバイルは6月に5Gのサービスを始めると発表している。
スマートフォン(スマホ)で動画を見たり、メールを送ったりできるのは、スマホが目に見えない電波を受け取って通信するからだ。通信の技術は約10年おきに進化してきた。1980年代の「1G」では電話で話せるだけだったが、世代ごとに通信速度が上がり、今の「4G」では動画が見られるほどになった。5Gではさらに数十倍も速くなる。
通信を高速道路に例えると、5Gでは今まで使っていなかった土地に幅が広い大きな道路をつくった。するとデータにあたる車がたくさん通れるようになる。データ量が多い2時間の映画をダウンロードするのに4Gだと5分かかるが、5Gでは3秒ですむ。
通信速度が速くなること以外にも、5Gには二つの特徴がある。
一つ目は、通信の遅れが少ないことだ。例えば通信アプリで通話しているときに、自分の声や映像が相手に少し遅れて届くことがある。こうした通信の遅れは5Gでは短くなる。そうすると、高い安全性が求められる医療や自動車の運転にも使えるようになる。
医療現場では、医師が映像を見ながら、離れた場所にいる患者の診療ができるようになりそうだ。ロボットを使って、日本の患者が外国のすご腕の医師の手術を受けられるようになるかもしれない。
また、自動車がスマホのように通信をして、運転手なしで自動運転ができる未来も遠くはないだろう。さらに、地震や台風などの自然災害が多い日本では、ドローンが災害時に位置情報等を基に現場へ向かい、救助活動などに活躍することも期待されている。
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