小中学生向け月刊誌「ジュニアエラ」6月号では「子どもが使える法律」を特集。法律だけじゃなく、学校のルールでも、おかしいと思ったら変えていい。それに挑んだ都内の高校生(現在は大学1年生)の例をリポートした。

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――なぜ校則を変えようと思ったのですか?

 うちの高校は、携帯電話の校内持ち込みができません。男子の髪形はツーブロック禁止、女子の下着は白と決められています。こうしたルールは年度初めにプリントで知らされて、生徒手帳などには記されていないから、批判しにくいんです。内容もあいまいで、先生の解釈で勝手に厳しくされます。自分の個性を出したいのに、なぜダメなのか、説明がないのはおかしいと思いました。2年生のとき生徒会長になったので、校則を変えることに挑戦しました。

――具体的にどんなことを?

 先生に「はやりの髪形は学生らしくないからダメ」と言われたので、「学生らしさって何だろう」と地域の人に聞くアンケート調査を企画しました。ところが顧問の先生に「勝手にやるな。退学させるぞ」と言われ、出鼻をくじかれました。がっかりしましたが、その後、大学生や地元の議員、弁護士、大学教授に会って、どうしたら校則を変えられるか、話を聞きに行きました。その中で、土台づくりが大事だとわかってきたんです。

――決め方に注目したのですね?

 はい。年に1度、生徒と学校が話し合う「交渉会」の頻度を、年4回に増やしてはどうかと思いつきました。最初は「仕事が増えるから嫌だ」と言っていた仲間も理解してくれるようになり、「交渉をやりたいので、学ばせてください」と言ってくれる後輩も現れました。2019年7月の交渉会には、生徒会の2、3年生、計24人全員が参加し、交渉会の回数を増やす要望を通すことができました。校則は変えられなかったけど、変えやすい環境をつくることができました。

――工夫したことは?
 それまでの交渉会は、文面を読み上げて終わりだったのですが、交渉会の2週間前に校長と副校長に要望書を直接、手渡して、「当日はこの内容で話したい」と伝えました。そうしたら、生徒指導の先生の一人が、「それぐらいならやってもいいのでは」と言ってくれたんです。要望書を事前に渡すことで話し合いが可能になりました。

――すごいですね。読者に伝えたいことはありますか?

 おかしいと思うことがあったら、行動してほしい。いろんな人と会って、話を聞いてみてほしい。そうすると世界が変わるし、自分も変われます。あと、生徒会に入るのもおすすめ。ほかの人の立場が想像できるようになって、視野が広がります。

※月刊ジュニアエラ 2020年6月号より

ジュニアエラ 2020年 06 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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