今年の夏休みは短くて、旅行にもなかなか行けないという子どもたちも多いだろう。そんななかでも、自宅の近くで、肉眼でもできる星空観察ならできそうだ。いったい、今年の夏にはどんな星や天体現象が楽しめるのか。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」8月号では、国立天文台・天文情報センター普及室の佐藤幹哉さんにガイドしてもらった。

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 今年の夏は、新型コロナウイルスの影響で山や海への遠出が難しい人も多いかもしれませんね。でも、どこにいても、夜空を見上げれば、頭上に「宇宙」という大自然が広がっています。街の光がじゃまをして星空観察しにくい市街地でも、明るい天体に的を絞れば、肉眼で充実した天体観測ができますよ。

 太陽系の惑星でいちばん大きいのが木星、次に大きいのが土星です。どちらも図鑑などで写真をよく見ると思いますが、実物を自分の目で見た人は意外と少ないのでは? 今年の夏は木星と土星が近くに並んで見えるので、観察のチャンスです。とくに、7月31日~8月3日には月を目印に簡単に見つけることができます。

 夜8時ごろ、南東の空が開けて見える場所に行って、その方角を見てください。月が見えましたか? その近くに光っている明るい星が木星です。この時期の木星は全天でいちばん明るい星なので、すぐに見つかるでしょう。

 土星は木星よりやや左に、木星よりは暗いけれど、明るく光っています。月が間近にある8月2日は、月明かりにじゃまされて見づらいかもしれません。土星というと輪が思い浮かびますが、残念ながら輪は望遠鏡を使わないと見えません。地域の科学館などが主催する星空観察会など、別の機会を見つけてください。

 8月8~10日には、火星が月の近くに見えます。夜11時ごろ、東の空に上がってきた月のすぐ近くに見える、赤っぽくて明るい星が火星です。

 木星と土星を見つけたら、「夏の大三角」と呼ばれる三つの1等星─こと座のベガ(七夕の織姫星)、わし座のアルタイル(彦星)、はくちょう座のデネブ─も探してみましょう。

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上浪春海
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