東海道新幹線の新型車両「N700S」がデビューした。今年の夏休みは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で旅行などが難しく、新幹線に乗りたくても乗れなかった子どもたちも多かっただろう。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」9月号は、そんな子どもたちのために新型車両や新幹線の歴史についてお届けする。
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東京と新大阪の間を走る東海道新幹線の新型車両「N700S」が7月1日、デビューした。JR東海は、まず4編成を走らせ、2022年度までに40編成に増やす予定だ。今までの車両とはどこが違うのか。
N700Sは、東海道新幹線では13年ぶりにフルモデルチェンジ(大がかりな改良)をした車両。Sは「最高の」という意味の英語「Supreme」から取った。いま多く走っているN700Aと比べ、先頭車両の両側が角張っている。
すべての席にコンセントが付き、スマートフォンなどの充電ができるようになった。背もたれを傾けると、座面も一緒に沈み込むようになり、座り心地が良くなった。また、横揺れも少なくなった。
停車駅を表示する車内の液晶ディスプレーも大型になって見やすくなった。デッキには大きな荷物を置けるコーナーができたが、使えるのは23年度からだ。荷物を置く棚には、使わなくなった車両の材料もリサイクルされている。
もし地震などで停電しても、床下にあるリチウムイオン電池を使って自力で走ることができる。
東海道新幹線ができたばかりの1964年、乗客を乗せて走るときの最高時速は210キロメートルで、東京駅を出発して新大阪駅に到着するまで4時間かかった。それが、N700AやN700Sの最高時速は285キロメートルで、東京から新大阪までの時間は最短で2時間22分まで縮まった。
より速く走れるよう、先頭車両は初期の「団子っ鼻」のような形から、どんどんとがった形へと変わってきた。また、速度だけでなく、安全性や乗り心地も進化し続けている。
東海道新幹線はいま、新型コロナウイルスの影響で乗る人が減っている。JR東海は「N700Sによって、誰かに会いたい、どこかに行きたいといった人々の希望を止めることなく支えていきたい」と語っている。
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