「人間は強いときもあれば、弱いときもある。患者が『死なせて』と発したら、寄り添って耳を傾け、解決する手だてがあるなら全力でサポートしてあげてほしい」。竹田さんはそう求める。
今回の事件を機に、医師が薬を使って患者を死なせる積極的安楽死や、薬の処方や提供を通じて自殺を助ける自殺幇助について議論を呼びかける人たちもいる。世界には法律で認める国・地域がある一方、日本では原則違法だからだ。だが、「死にたいと思わせる社会に問題がある」との見解を、難病患者や障害者らの団体「日本自立生活センター」(京都市)は発表した。同センターは「差別や偏見の解消、介護・医療の受け手と担い手がともに安心して生きられる体制の充実がまず目指されるべきだ」としている。
【筋萎縮性側索硬化症(ALS)】
体を動かす神経が障害を受けて筋肉がやせ、だんだん力が入らなくなっていく病気。進行の速さには個人差があるが、人工的な呼吸補助がないと生命を保つのが難しい傾向にある。根本的な治療法は確立されておらず、遺伝子治療などが試みられている。日本の患者は現在9千人を超えるとされる。患者を支える国際機関によると、発症率は人口10万人あたり2人程度という。
(朝日新聞大阪本社社会部・花房吾早子)
※月刊ジュニアエラ 2020年10月号より
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