子どもに英語を身につけさせるには、幼いころからの環境や親の働きかけも重要だ。現在発売中の『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2021」』では、幼稚園児から中高生までの英語教育に携わる専門家に、幼児期の英語学習で大切にしたいことについて話を聞いた。
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英語塾代表として、子どもへの英語指導経験が豊富な斉藤淳さん。
「英語学習を始めるにあたり保護者のみなさんに理解してほしいのは、年齢ごとに学習の特性は異なるということ。幼児に単語を覚えなさいとか文章を書いたほうがいいとか、年齢に合わない学習を押し付ければ、子どもは英語嫌いになってしまいます」
幼児期の子どもに合った学習法として斉藤さんがあげるのは、英語の読み方や正しい発音を身につける「フォニックス」だ。
「英語の音を学ぶ学習は、小さい子どもほど得意です。フォニックスは日本語の音が染みつく前、遅くとも小学校でローマ字を勉強する前には始めたいところですね」
フォニックスとは、アルファベットのそれぞれの文字が持つ音や、文字の組み合わせによる発音の規則性を学ぶ学習法のこと(図参照)。幼児でも取り組めるシンプルな学習法ながら、段階を踏んで進めることで、初見の単語でも読み方が推測できるようになる。
斉藤さんいわく、フォニックスを学ぶことは「ランニングの前にストレッチをするようなもの」。準備運動をせずに走り始めると、思わぬケガをすることがあるように、フォニックスを学ぶことなく英語学習を始めてしまうと、間違った発音を脳にインプットしてしまうことにつながるという。
「私どもで運営するプリスクールでもフォニックスはかなり丁寧に指導しています。ネイティブをめざす必要はありませんが、フォニックスで『勘所になる音』を押さえることで、英語への距離がぐっと縮まります。家庭でフォニックスを学ぶ場合は、動画などを上手に利用しましょう」
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