事情は海外も同じだ。アメリカは4~6月期のGDPが年率換算で3割減、ヨーロッパのユーロ圏も4割減と記録的な数字になった。日本より厳しく外出を禁じた国もあったためともされる。影響は大きく、アメリカでは一時、失業者が2千万人を超えた。

 日本では、政府が7月以降、旅行や飲食を促す消費喚起策「Go To キャンペーン」を順次始めるなどして、感染防止と経済活動の両立を図る動きが広がる。ただ、感染の収束は見通せず、経済回復の足取りは重い。

 政府は巨額のお金を配って消費を促し、倒産を防ごうとしているが、GDPがコロナ前の水準に戻るには数年かかる見通しだ。企業の収益が戻らず、賃下げや雇用を減らす動きが広がるおそれもある。政府が投じた巨額のお金は実は借金だ。いずれは国民の負担になることも忘れてはならない。

<GDP(国内総生産)>
一定期間内にその国で新たに生み出されたモノやサービスの付加価値の合計額。国の経済力の目安として使われる。過去と比べた経済の伸びや、外国との比較ができる。2018年の名目GDPのトップ3は(1)米国(20.6兆ドル)(2)中国(13.4兆ドル)(3)日本(5.0兆ドル)。

<リーマン・ショック>
アメリカの大手金融機関リーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけにした世界的な金融危機と不況の総称。日本でも自動車や電気機器の輸出が急減し、工場で働いていた派遣社員が仕事を失う「派遣切り」などが社会問題になった。

<ユーロ圏>
ヨーロッパ連合(EU)加盟国のうち、「ユーロ」を共通通貨にしている国々。現在19カ国。

(朝日新聞経済部・山本知弘)

※月刊ジュニアエラ 2020年11月号より

ジュニアエラ 2020年 11 月号 [雑誌]

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山本知弘
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