「滑り台の逆走」が我々の守るべき社会の規範に反するものなら、それは誰かが注意しなければならないことなのだと思います。お母様は「滑り台逆走はいけないこと」とママ友とその息子さんにも注意するべきだと思いますが、言えないのであれば、市町村の管理事務所を訪ねて、その是非を取り上げてもらうこともできるでしょう。そして、公園で楽しく遊ぶためのルールをみんなで決めてはいかがでしょうか。
社会は変わりつつあります。
これまでの日本社会は、「見て見ぬふりをする」あるいは「言わないこと」を美徳とするところがありましたが、是非を明確にする時代になったのです。孔子のように、分からないことはもちろん、分かっていることもあえて確かめるために、「尋ねる」ということはとても大切なことだと思います。子育て中の「細かいこと」も、みんなでルールを決めて、それを守ることが求められているのです。
【まとめ】
自分の普段の行いを自省すると同時に、人に「尋ねる」姿勢こそが、本当の「礼儀」。細かいことであっても、社会の規範に反するものがあれば、誰かが注意すべきだ
山口謠司(やまぐち・ようじ)/中国文献学者。大東文化大学教授。1963年、長崎県生まれ。同大学大学院、英ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。NHK番組「チコちゃんに叱られる!」やラジオ番組での簡潔かつユーモラスな解説が人気を集める。2017年、著書『日本語を作った男 上田万年とその時代』で第29回和辻哲郎文化賞受賞。著書や監修に『ステップアップ 0歳音読』(さくら舎)『眠れなくなるほど面白い 図解論語』(日本文芸社)など多数。母親向けの論語講座も。フランス人の妻と、大学生の息子の3人家族。
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2024.11.10