もうすぐ夏休みがスタート。特に中学受験生たちはどう過ごせばいいか。AERA 2021年7月19日号では、中学受験家庭に絶大な人気のプロ家庭教師“きょうこ先生”こと安浪京子さんに聞いた。

中学受験専門カウンセラー・算数教育家 安浪京子さん/アートオブエデュケーション代表取締役。近著に佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)。7月14日には新刊『中学受験 必勝ノート術 カリスマ家庭教師のワザを親子で実践!』(ダイヤモンド社)を発売(撮影/掛祥葉子)
中学受験専門カウンセラー・算数教育家 安浪京子さん/アートオブエデュケーション代表取締役。近著に佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)。7月14日には新刊『中学受験 必勝ノート術 カリスマ家庭教師のワザを親子で実践!』(ダイヤモンド社)を発売(撮影/掛祥葉子)

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──昨年に続き、コロナ禍の夏休み。変化はありますか?

 塾の夏期講習も始まりますが、大変だったのは先が見えなかった昨年です。今年の夏期講習は、例年通りの通常運転となります。一方でコロナの影響を受けているのが小学校です。遠足や修学旅行などが中止になったり、秋に延期になったりしています。学校行事は子どもたちにとってメリハリがつき、ストレス発散になる場です。去年と同様にそれがなくなってしまっているのはかわいそうですよね。夏休みには、可能な範囲で子どもたちにさまざまな経験を積ませてあげて、ストレス発散もさせてあげてほしいなと思います。

──中学受験をする子はどう過ごすといいですか?

 学年と家庭のスタンスによって変わりますが、低学年は中学受験をするかしないかは関係なく、家庭での学習習慣の構築に重点を置きましょう。1日10分でも20分でも、ドリルなどで学習習慣をつけることをおすすめします。その時間は椅子に座って、紙に鉛筆で書くことが大切です。最近はタブレット学習などいろいろな学習方法があり、紙に書かないで進める勉強もあるため、筆圧が弱くて字がふにゃふにゃな子が増えています。字が薄いとせっかく解ける問題でも、ミスの発生率が高くなるのはもったいないですよね。

■詰め込みすぎは失速

 なかでも、算数はぜひ家庭で計算力を盤石にしてほしいと思います。上位校を目指す6年生でも、この時期に計算でつまずいていることは珍しくありません。全ての計算の根幹は「繰り上がりの足し算」「繰り下がりの引き算」「九九」。低学年のときに小学校でもらった「計算カード」などを活用して(なければ手作り)、この3種の基本的な計算を訓練すると、正確さ、スピードが格段に変わります。

 4年生は中学受験のために塾に通い始めた子も多く、受験のスタートラインに立って初めての夏休みです。夏休み前に親子で夏期講習がある日とない日の2パターンだけでいいので、スケジュールを立てておきましょう。注意したいのは勉強一色にしないこと。4年生のうちから詰め込みすぎると、5、6年生で失速する可能性があります。

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AERA編集部
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