「とはいえ、関心を示さなくなるだけであって、聞き取りができるようにならないわけではありません。週に1度短時間の英語のレッスンを受けるだけでは難しいかもしれませんが、もっとコンスタントにインプットを行い、英語の音は自分にとって『必要な言語情報』であると脳に意識させれば、言語習得機能のスイッチは入ります。特に未就学児であれば、可能性はとても高いと思います」

 耳からのインプットを効果的に行うポイントは、年齢に合った方法、教材を選ぶことだ。「幼児の場合、親との会話や身の回りの物、色、図形の名前などがバランスよく入っているものであれば、動画でも絵本でも、素材はなんでもいいと思います」と船津さん。脳の関心を引きつけるという点からは、「Caillou」(後述)など、家庭内の親子の会話を疑似的に体験できるものがおすすめだ。

「ご飯を食べようとか、散歩に行こうとか日常的な会話がいいのです。子どもになじみのあるフレーズを耳から取り込める素材を選びましょう」

 インプットの目安は1日90分。日本語の説明をはさまず、英語の音のみを聞かせる練習を継続することで、子どもの脳は英語の音の種類やパターンを把握し、さまざまな語句の意味も理解するようになる。この状態こそが、「耳から聞いた英語を訳さずに理解する」ための初めの一歩だ。

「英語を英語のまま理解できるようになった子どもは、本や映像などの素材を与えるだけでどんどん力を伸ばします。保護者は、子どもが英語の音をBGMとして聞き流す時間を作ってあげたら、あとは余計な口出しをしないこと。英語学習は子どもの脳に任せるのが一番です」

◆船津式・バイリンガル脳の獲得法◆

《質・量ともに十分なインプットで脳を言語習得モードに》
子どもが身近に感じるフレーズや語彙が含まれる素材を使って、1日90分を目安に「耳から」インプット。本来脳にある言語習得機能を起動させる。

《小学校低学年までは耳が主役。年齢に合った学習法を選ぶ》
語彙も文法も耳から覚えられるのが、幼児の特権。小学校入学以降は、音読など「目から」のインプットも取り入れた学習が効果的。

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