「長さ」について習っていた2年生の算数では、「Length is Nagasa in Japanese.」「A ruler is Monosashi in Japanese.」と子どもたちが唱和する場面があった。6年生の授業になると、算数ではFraction(分数)、numerator(分子)、denominator(分母)、理科ではexhaled air(呼気)、inhaled air(吸気)などの単語が頻発したが、児童は聞き取って理解し、質問にも英語で答えていた。

「想像以上に子どもたちの吸収力が高いです。アウトプットには時間がかかると思いましたが、よく発話できています」(稲田教頭)

 イマージョン教育コースで学ぶ6年生の西原志恩(にしはら・しおん)くんは、幼稚園から英語を習ってきたため、もっと英語ができる学校に行きたいと思い、他校から転校してきた。「先生はジョークも言ってくれて、授業はとても楽しい」と、笑顔を見せた。

「NETは豊橋に暮らし、地域に溶け込んでいる人たちなので、子どもたちにとって国際交流のモデルでもあります。このコースを通して、国籍などにとらわれず、英語をツールとしていろいろな人と交流できるようになってほしい。将来、豊橋の良さを世界に発信してくれれば、なおうれしいですね」(稲田教頭)

■小学校の英語は将来に向けての素地づくり

 八町小学校のイマージョン教育に代表されるように、公立小学校の英語教育は多様化し、変化している。とりわけそれを促したのが、20年度から本格始動した新しい学習指導要領だ。なかでも、6年生で学ぶ外国語(英語)が国語や算数などと同等の「教科」になったことは大きい。

 公立小学校ではどのような授業が行われているのか。東京都杉並区立堀之内小学校の5年生の授業を訪ねた。教壇に立つのは担任の黒木愛(ちか)先生。今、学習している単元は「What do you want to study?」。「夢に近づく時間割」についてみんなで話すという。教室の前の大きなスクリーンにグループで発表しあう動画が流れ、単元末に向けてめざしたい姿を聞いたり言ったりする。その後は「What do you want to study?」「I want to study arts and crafts.」などのフレーズをリズムに乗せて口にしたり、友だちとペアで会話を交わしたり、45分間の授業は、活気に包まれていた。

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