【解説】
 お答えします。妻が「復職せずに主婦業に専念したい」と願うのであれば、そうさせてあげてください。今、何を優先すべきかを考えたとき、夫婦にとって最も大切なものは、2歳の息子さんであると拝察します。息子さんの将来を考えて妻が育児に専念したいということなら、妻と力を合わせて、たくさんの愛情を大切な息子さんに注いでください。

『論語』には、孔子が、激しい言葉で、旧友の原壌(げんじょう)をなじった言葉がのこされています。「幼にして孫弟(そんてい)ならず。長じて述べらるる無(な)く、老いて死せず。是(こ)れを賊と為す」(憲問第十四)

 あるとき、原壌は孔子と待ち合わせるのに、立膝をして待っていました。旧友を待つにしても無作法です。そこで孔子は言いました。

「幼いころは、目上の人に従順でなく、大人になっても何一つよいことをせず、年をとってからも、いたずらに生をむさぼっている。そういう人を『泥棒』と言うのだ」

「人生、100年」という時代、生まれたばかりの息子さんには、100年の人生が待っています。相談者さんは、息子さんが原壌のような「賊人」とならないようにすることを考えてください。その基本は、家族の絆です。その絆は、愛情によってしかつくることができません。

 原壌には、母親に対する愛情さえ欠けていました。礼儀や慣習について書かれた『礼記』には、原壌の母が亡くなったとき、孔子が代理となって葬式を出してあげたのに、棺桶によじ登って歌をうたっていた、と記されています。

 相談者さんは「働かない人=怠け者」という価値観からは脱皮すべきです。むしろ「愛情を持たない人=怠け者」と考えてみてはいかがでしょうか。人は、他人との関係の中で生きています。商売でも会社でも、礼儀はもちろん、信頼、感謝、尊敬、謙譲など、心からの「愛情」を抱いて人に接していかなければ、うまく発展させることはできません。これは、親が教えてあげなければならないことなのです。

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