「大宮開成は昨春の大学合格実績が良かった。また開智(埼玉県さいたま市)、春日部共栄(埼玉県春日部市)、淑徳与野(埼玉県さいたま市)などが志願者を増やしています。栄東や大宮開成もそうですが、これらの学校は従来の教育に加えて新しい教育スタイルを導入し、広報活動も積極的に行って受験生や保護者に支持されています」(北さん)
■埼玉の志願者増の背景には公立中高一貫校の開校も
公立中高一貫校の影響もあるという。2019年に開校したさいたま市立大宮国際中等教育学校(埼玉県さいたま市)と、21年開校の川口市立高等学校附属中学校(埼玉県川口市)が人気を呼び、県全体の中学受験層の掘り起こしにつながっている。
また、西武学園文理(埼玉県狭山市)や浦和実業学園(埼玉県さいたま市)などが、公立中高一貫校の入試にあたる「適性検査」と近い形式の入試(適性検査型入試)を導入しており、埼玉県だけでなく東京都の公立中高一貫校を志望する受験生が、腕試しとして受験した模様だ。
千葉の学校は全体的に志願者を減らしたが、昨年春に女子校から共学化し校名を変えた光英VERITAS(千葉県松戸市)、東海大付属浦安(千葉県浦安市)は志願者が増えており、コロナが落ちつけばさらに志願者が増加しそうだ。
■地方校の首都圏入試も活況
近年注目されているのが、地方の学校が首都圏で実施する入試だ。12月末から1月上旬と早い時期に行うので日程を組みやすく、腕試しに受験するケースが増えている。交通の便が良い場所に入試会場を設けるため、試験を受けやすいという利点もある。
難関校の首都圏入試の今年度の志願者は、西大和学園(奈良県河合町)が182人、北嶺(北海道札幌市)が241人、函館ラ・サール(北海道函館市)が254人と、200人前後を集めた。中堅校では盛岡白百合学園(岩手県盛岡市)が940人、長崎日本大学(長崎県諫早市)が980人と1000人規模に達した。例年多くの受験生を集める佐久長聖(長野県佐久市)は、昨年の3563人からさらに増え、3990人と4000人近くに及んだ。
地方校入試の活況の背景には、寮の人気もあるようだ。
「寮のある学校は生活面と共に、学習面もしっかりと指導している。保護者にとっては、勉強させてくれるという安心感があるのかもしれません」(北さん)
(文/柿崎明子)