●硬貨や紙幣のデザインを変えるのはなぜ?

 2021年11月、新しいデザインの500円硬貨が発行された。24年度には紙幣のデザインも新しくなる。デザインを変更するのは、最新技術を使うことで偽造を防ぐためだ。

 500円硬貨が初めて登場したのは1982年。今回のデザイン変更は2000年以来2度目になる。

 新しい500円硬貨は2色3層の構造で、記念硬貨以外で2色の硬貨がつくられるのは日本では初めて。硬貨の縁のギザギザが、等間隔ではなく、不規則に刻まれている。表面の端には「500YEN」「JAPAN」という微細な文字が入る。いずれも高度な技術がないとつくれない。手元にある人は見てみてね。

 2024年度からは3種類のお札のデザインが新しくなる。偽札と本物の見分け方の基本は、光にかざすと真ん中に図柄が浮かび上がる「すかし」。偽物は光に当てなくても見えることが多い。新デザインでは、すかしの図柄をより精細にするほか、見る角度を変えると肖像画が回転して見える、最新の「ホログラム」を取り入れる。

●国の借金1千兆円 日本は大丈夫?

 昨年末に政府が閣議で決めた2022年度の当初予算案は107

兆円と、10年連続で過去最大になった。高齢化の影響で増え続ける社会保障費や、防衛費が過去最大になったほか、新型コロナウイルス対応の予備費が加わってふくらんだ。

 税金だけでは足りないので、政府は国債を発行して、銀行などからお金を借りている。その国債の残高が、積もり積もって22年3月末に1004兆円になる見通しだ。1千

 兆円を超えるのは初めて。日本の財政状況は、先進国の中で最悪の水準だ。単純に人口で割ると1人当たり約800万円になる。

 日本の国債は、国内で買われている割合が高い。国民が国にお金を貸して財政を支えている形なのでなんとか持ちこたえられているが、なんらかの理由で国債の魅力が下がって買ってもらえなくなると、日本の財政は破綻してしまう。税制や国家予算の使い道に、国民一人ひとりが主権者として目を光らせる必要がある。

 アフリカ南部のジンバブエでは、2008年、政策の失敗が続き、急激にお金の値打ちが下がりモノの値段が上がる「ハイパーインフレ」が起きた。高額な紙幣がどんどん発行され、09年1月には100兆ジンバブエドルのお札が登場。しかし、同年2月に通貨の単位が1兆分の1に切り下げられたため、この紙幣が実際に使われることはなかった。

※月刊ジュニアエラ 2022年3月号より

ジュニアエラ 2022年 3月号 [雑誌]

朝日新聞出版

ジュニアエラ 2022年 3月号 [雑誌]
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AERA編集部
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