大学入試改革が進み、現在は、かつてのペーパーテストで合否を決める知識偏重型から面接や小論文など人物を重視した総合選抜型が増えつつあります。中学受験も、進学実績や偏差値などにこだわるのではなく、わが子の個性や特性を生かしてくれそうな学校を選ぶという家庭が増えてきています。今回は、5・6年生の2年間を山村留学に費やした後、ほぼ塾なしで中学受験に挑戦したTちゃんの体験談を紹介します。
【無料マンガ】このエピソードをマンガで読む(全31枚)娘の「行きたい!」気持ちを尊重し、都会からいきなりの田舎暮らし
都内の公立小学校に通っていたTちゃんは、絵を描いたり工作をしたり、本を読み耽ったりするのが大好きな女の子でしたが、小学4年生の秋頃から、「学校がつまらないから、週に1度は休みたい」と言うようになったそう。クラスの女子たちのカラーに染まりきれないことや、規律を重視する“紋切り型”の先生と馬が合わずに、なんとなく自分の居場所を感じられなくなったことが原因のようでした。
お母さんは授業を見にいったり、Tちゃんの声に耳を傾けながら、しばらく様子を見守りましたが、このままここにいたら、自分の意見や感情を思うままに表現することに遠慮したり、自己肯定感を下げていってしまうのではないか、という不安や焦繰感を抱くようになっていきました。
そんな時、以前、姉妹で参加したことのある短期キャンプを主催していた団体が、1年間の通年合宿という山村留学プログラムを行っていることを知りました。それは、親元を離れて地方の小学校に通いながら、大自然の中で20人程度の小学生たちとで共同生活をするもので、小さな頃からキャンプに出かけたり、祖母の畑で収穫をしたり、自然と関わることが好きだったTちゃんにとっては、とても魅力的に見えたようです。農作業や山羊の世話なども行う2泊3日の体験入学を経て、すっかり自然に馴染んだTちゃんは、目をキラキラさせながら、自らの意志で、未知の世界に飛び込んでいきました。
次のページへ自己解決能力がアップ