ぶつかり合うことで、自己解決能力がアップ!

 都会を離れ、新たな環境で5年生をスタートさせたTちゃんですが、最初から順風満帆だったわけではありませんでした。学校に通うルーティンのほかに、食事作り、掃除、洗濯、山羊の世話、農作業なども日常的に行います。二人一部屋での生活のため、ルームメイトと大喧嘩になるったこともあったそう。また、スマホやゲームなどのデジタル機器の持ち込みは禁止で、親に会えるのも月に一度、日常のやりとりは手紙でした。

 毎日、スタッフの人たちが撮った写真をブログにアップしてくれるので、子どもたちがどんな活動をしているのかを親は垣間見ることができましたが、直接Tちゃんの表情を見ることができないためにお母さんは不安になることもありました。けれども、「帰る」と言わないわが子を信じるしかないと、黙って遠くから見守ることに注力をしたそうです。

 また、周りで指導する大人たちも「できないでしょ」と手出しをするのではなく、「できるよね」という視点から、子どもたちの自信を育ててくれてありがたかった、と振り返ります。

難しい受験問題を見て怯んだ親、楽しそうに挑戦する娘

 自然の中で濃密な人間関係を築きながら、成長していったTちゃん。5年生の終わりになり、進路を考える時期になりました。東京に戻って公立中学に通うのか、中学受験をしたほうがいいのかを考えていたときに、探究学習に力を入れている中高一貫校が近所にあることを知りました。大学受験のための勉強をすることも大事ですが、自分の好きなことややりたいことを、バックアップしてくれる校風をTちゃんも両親もとても気に入り、受験にチャレンジしてみよう!と決めたのだそう。

 けれどもTちゃんは今まで塾に通ったことがありません。受験間際の冬期講習に滑り込みで申し込んだものの、テキストを見て両親は愕然としたと言います。難易度が高く、これはさすがに無理じゃないかと、半分諦めて記念受験を覚悟していたそうです。

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